1、ビジュアル・ナラティヴによる三項関係の媒介ツールの開発と実施。糖尿病患者の「私と病いの関係:病気になったころ、現在、未来」についてのイメージ描画とインタビューによる調査を終え、ビジュアル・データと言語データの比較分析をすすめた。 2、当初の予定にはなかった腎臓病透析患者62人のビジュアル・ナラティヴ調査を追加実施した。糖尿病患者のデータと比較すると、腎臓病透析患者の方が「死」など深刻なイメージが多かった。しかし、現状の深刻さにかかわらず未来のイメージを明るく描く傾向は、糖尿病患者と共通していた。「未来」のイメージが現在に影響する興味深いナラティヴの特徴と考えられた。 3、医療現場に限らず、広い分野で応用可能な「三項関係」と「ビジュアル・ナラティヴ」の理論化を行い、方法論を明確にした。 4、研究成果の発表。イギリスと日本で開催された国際学会で次の題で3つの研究発表をし、国際発信を行うとともに海外の研究者と理論的・方法的な討議をした。“Diabetic patient’s visual narratives of illness” ”Visual narratives of life and illness”” Visual narratives and visual mediation in triadic relationships” 日本発達心理学会、日本心理学会、日本質的心理学会などの国内学会でレジリエンスや生涯発達とビジュアル・ナラティヴを関連づけて、研究成果を発表した。また、講演会や研修会などで、研究成果を積極的に社会に発信した。
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