研究課題
国際的流動性の高まる時代にあって、異文化間心理学と健康心理学の融合から、異文化間教育と健康教育を融合させて、食行動のマネジメントに異文化滞在者の特性を組み込んだ「異文化間食育」の開拓に挑戦した。従来の食育は国内向けに営まれており、複雑な適応過程にある異文化滞在者である在日留学生への直接的な適用は難しい。現状では総じてその食は個人任せとなっており、教育となると空白である。だが異質な社会文化的環境下でも、健康のセルフマネジメントができることは、グローバル時代の重要な能力になると考えられる。従来は、日本人向け食育の単純な適用は適合しないという推測はできても、何をどうすれば彼ら向けの食育になるのかが未詳であった。我々はその答えを探すため、健康心理士と看護師・保健師および留学生教育者という学際的なチームで研究を展開して、時代のニーズに応えようとした。だが食は日常的すぎて食心理学自体が未発達といわれる現状では、初期的段階から研究を始める必要があった。まず探索段階として在日外国人の食とその問題の構成について、社会文化的適応の観点を組み込みながら解明を試みた。そして「異文化間食育」に求められる要素を整理して、理論化の手がかりを探した。我々は異文化滞在者の独特な健康問題の構造を分析して、文化受容の観点を加味した健康教育に関する理論構築への示唆を得た。そして文化の要素を組み込みながら実施する、食育のあり方について議論した。
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International Journal of Health and Life-Sciences, Special Issue
巻: Vol.1 Issue 1 ページ: 238-252
留学生教育
巻: 20 ページ: 67-74
文化共生学研究
巻: 14 ページ: 109-117