研究課題/領域番号 |
25590194
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
佐野 智子 城西国際大学, 福祉総合学部, 准教授 (50348455)
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研究分担者 |
勝谷 紀子 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (90598658)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 加齢性難聴 / 高齢者 / コミュニケーション・ストラテジー / 精神的健康 |
研究実績の概要 |
本研究は、健康状態の比較的保たれている難聴高齢者を対象に調査を行い、「加齢性難聴への適応プロセス」を明らかにするものである。難聴によって生じるコミュニケーション障害を補うための認知的・行動的工夫を明らかにし、それらのコミュニケーション・ストラテジーと精神的健康度との関連を調べることを目的としている。 平成26年に実施したインタビュー調査の分析では、高齢者たちは聞こえなくなることへの不安や現在の楽しみがなくなる不安を抱えているが、将来聞こえにくくなった場合には、補聴器を装用することに対しての抵抗はなかった。しかし、補聴器の調整に時間がかかるという知識はほとんどないことが明らかになった。また、難聴高齢者たちは、コミュニケーションの相手、場面、事柄の重要度に応じて、ストラテジーを変えていることが明らかになった。平成27年度には、さらに詳細な分析を行い、学会で発表するとともに、難聴コミュニケーション・ストラテジー尺度を開発し、難聴コミュニケーション・ストラテジーと精神的健康度との関連性を調査する予定であったが、これらの実施が遅れている。平成28年度には、すべての研究計画を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の両親の介護が必要であり、本研究に従事する時間が十分にとれなかったことが主な理由である。また、当初、介護予防事業の健康教室を研究フィールドとしていたが、インタビュー調査の段階で、当該フィールドではインタビュー調査が認められず、新たに研究フィールドを設定する必要があったことも、研究が遅れた要因である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、残りのインタビュー調査を実施し、その結果を分析し、高齢者たちが難聴に気づきはじめてから認知的・行動的に適応するまでのプロセスを明らかにし、難聴高齢者の難聴への適応プロセスをモデル化する。また、それを基に難聴コミュニケーション・ストラテジー尺度を開発し、コミュニケーションストラテジーと精神的健康度との関連性を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、研究代表者の調査は実施できなかったため支出実績がなかった。研究分担者の予備的研究部分のデータ整理のアルバイト費用のみ使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は予定のインタビューをすべて実施し、調査協力者への謝金ならびに逐語録作成のための費用として使用する。さらに今年度はコミュニケーション・ストラテジーと精神的健康度との関連性について、量的研究も行うため、質問紙の作成、印刷、郵送料、調査協力の謝金などとしても使用する。また、研究成果を学会発表や論文として報告するための費用としても使用する予定である。
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