研究実績の概要 |
PFAの研修の実施と効果の検証 (1)目的 心理職等に対してWHO版PFAについて体験的な学習方法による研修を実施し,その効果を検証する。 (2)方法 ①対象-心理職等12名(臨床心理士7名、健康心理士など他の心理職2名、会社役員1名、事務職2名。男性3名、女性9名。平均年齢49.8歳、SD=11.04)。②研修内容-研修はWHO版PFAのテキストに基づいて実施した。研修講師は研修講師養成の4日間のトレーニングを受け、講師として認められた2名(うち1名は著者、臨床心理士・精神保健福祉士。もう1名は保健師。)であった。③実施時期-合計5時間。④調査内容-a)災害対応の能力・知識の自己評価に関する評価用紙(金,2013)。b)PFA基礎知識の理解度(金,2013)-PFA基礎知識として,災害時の被災者の反応,被災者との接し方,セルフケアなどについての理解を検証する。「はい」「いいえ」の2件法である。 (3)結果 災害対応の知識と能力に対する自己評価の前後比較の結果,事前は2.40(SD=0.904),事後は3.40(SD=0.667)であり,統計的に有意に自己評価は上昇した(t[11]=5.22, p<0.001)。PFA基礎知識の理解度に関する前後比較の結果,事前は16点満点で14.67(SD=1.231),事後は15.42(SD=0.515)であり,点数は上昇していたが統計的には有意ではなかった(t[11]=1.83, n.s.)。研修の進め方について,良かった点は「ロールプレイやグループ討議を行うことにより,理解が増した」「解説とグループワークの組合せが身に付きやすい方法だった」「参加者が発表したことに対して,必ず応答をして下さり,置き去りにされなかったこと。発表したことを否定せず,足りない点を補う形で示して下さった」などの意見があった。
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