本研究は鳥類・ほ乳類において侵襲性の少ない脳計測技術を開発しようとするものである。26年度は、マウス(ほ乳類)を用いて聴性誘発電位の計測に成功したこと、ジュウシマツ(鳥類)を用いて聴覚野からのフィールドポテンシャルの記録に成功し、さらに事象関連電位としてミスマッチネガティビティと同様な性質を持つ電位を得ることに成功した。以上について詳述する。 マウスにおいては、イソフルランの麻酔を施した後、耳介の後部の皮膚に27ゲージの注射心を差し、聴性誘発電位を記録することができた。記録した電位を40回以上加算平均して得られた波形は、頭皮を開いて頭蓋上から記録したものと同様な波形を持ち、これよりマウスの聴覚閾を推定することができた。この波形を用いて、音刺激の異同弁別が記録できるかどうかを検討している。 ジュウシマツにおいては、ウレタン麻酔後、中間的なインピーダンスを持つ電極を聴覚野に刺入し、聴覚応答を記録した。オドボール課題により得られた波形を25回以上加算平均すると、ヒトにおいて同様な課題で得られたミスマッチネガティビティと同様な陰性波で、250ミリ秒前後にピークをもっていた。また、同時に得られた単一細胞記録データを複数のニューロンについて平均しても、同様な性質を持った波形が得られた。 今後は手続きをより単純にして侵襲性をさらに減らすことが必要である。
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