研究課題
挑戦的萌芽研究
本年度は、心拍変動性のバイオフィードバックの最適な方法を確立するために約10名の被験者を対象として、予備的実験を繰り返した。その結果、呼吸を1分間6回のペースに統制することにより、10分間のバイオフィードバックを休憩を挟んで2回繰り返すことで、心拍変動性の低周波成分が顕著に増加することを確認した。この現象はほぼ全員の被験者において認められ、頑健なものであることが確認された。これにより、本研究課題の独立変数部分である実験操作に関しては、方法が確立された。さらに、本研究課題の目的である、バイオフィードバックにより心拍変動性を増すことで急性ストレス反応からの回復性が促進されるか否かを検討するために、3名の被験者を対象として予備的実験を行った。心拍変動性バイオフィーバック条件と、これを行わない統制条件を設け、急性ストレス課題としては時間圧を負荷した連続暗算課題を使用した。急性ストレス反応としては、心拍、皮膚伝導反応を測定し、また唾液検体を採取して代表的なストレス・ホルモンであるコルチゾールを測定した。その結果、心拍変動性バイオフィードバックにより、急性ストレス負荷後の心拍がより早くベースラインに回帰する傾向が認められた。被験者が3名と少数なため、この結果についてはまだ評価することは難しい。今後さらに例数を増やして頑健な成果が得られるよう努力すると共に、神経画像研究を行って、神経メカニズムについての探索を行う。
2: おおむね順調に進展している
心拍変動性バイオフィードバックの最適な方法について検討を重ね、方法を確立できたことで、本年度の目的の半分は達成された。しかし、このために時間を要したために、心拍変動性バイオフィードバックが急性ストレス反応からの回復を促進する効果については、十分な検討を行うことができなかった。
現在行っている実験を継続し、今後さらに例数を増やして心拍変動性バイオフィードバックが急性ストレス反応からの回復を促進する効果について、頑健な成果が得られるよう努力する。上記の効果について頑健な結果が得られたならば、fMRIによる神経画像研究を行って、神経メカニズムについての探索を行う。
予備的実験研究に時間を要し、予定していた実験が全て終了しなかったため。平成26年度に行う実験研究において必要な物品費として使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Journal of Neuroimmunology
巻: 260 ページ: 28-36
doi: 10.1016/j.jneuroim.2013.04.011