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2013 年度 実施状況報告書

海馬CA3-CA1路の神経解剖学的左右非対称性の機能的意義

研究課題

研究課題/領域番号 25590209
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関広島大学

研究代表者

岡田 佳奈  広島大学, 総合科学研究科, 特任助教 (50528263)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード生理 / 神経回路網 / 左右非対称性
研究概要

本研究は、海馬CA3-CA1経路に備わる構造的左右非対称性が、海馬関連ネットワークの構築・維持とその記憶形成機能において果たす役割を明らかにすることが目的である。そのために、海馬CA3-CA1路の構造的左右非対称性を持つ野生型マウスと、左右非対称性を喪失したivマウスとを用いて、各マウスの空間記憶形成機能、海馬と海馬関連ネットワーク内の神経活動を記憶形成過程や刺激呈示からの時系列に沿って検討することにした。
25年度は、ivマウスの空間記憶形成機能、海馬と海馬関連ネットワーク内の神経活動を検討するため、野生型コントロールマウスと、ヘテロ型コントロールマウス、ホモ型ivマウスの記憶機能と記憶課題中や休息中の海馬と海馬関連領域(嗅内皮質、前頭皮質、帯状皮質)の局所集合的な細胞外神経活動(主にLFP)を検討した。記憶課題として、物体探索課題(Save et al., 1992)と聴覚性オドボール課題(Brankack et al., 1996)を用いた。
検討の結果、左右非対称性を喪失したivマウスは、物体探索課題において、他のコントロール群と比べて、活動性が低く、空間認識記憶に障害を示した。また、ivマウスは、聴覚性オドボール課題において、音刺激提示後の海馬θ波の活動が、他のコントロールと異なる様子を示した。
これらのivマウスの記憶障害や神経活動の異常は、海馬機能において、海馬CA3-CA1経路の左右非対称性が重要であることを、動物の行動と海馬の神経活動の2つの側面から示すものである

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

物体探索課題と聴覚性オドボール課題を用いて、海馬CA3-CA1路の構造的左右非対称性を持つ野生型マウスと、左右非対称性を喪失したivマウスとの空間記憶形成機能、海馬と海馬関連ネットワーク内の神経活動を記憶形成過程や刺激呈示からの時系列に沿って検討することができたため。

今後の研究の推進方策

25年度の検討により、海馬の左右非対称性を喪失したivマウスが海馬依存型の記憶障害やや海馬の神経活動の異常を示し、海馬機能において、海馬CA3-CA1経路の左右非対称性が重要であることが示唆された。
今後は、海馬関連ネットワークの非対称性の構成要素が欠けた場合にどのような記憶障害が起きるか検討する。さらにその時、ネットワーク内の神経細胞の活動がどのように変化し、その結果として当該ネットワークの構造がどのように変性するのかを検討する。これらにより、海馬CA3-CA1経路に備わる左右非対称性が海馬の関与する認知機能や神経ネットワークの活動・変性において果たす役割を明らかにする。まず、26年度は、構造的非対称性の基となる投射を個別にイボテン酸損傷し、海馬関連ネットワークの非対称性の構成要素が欠けた場合にどのような記憶障害が起きるか検討するため、固有海馬(CA1からCA3のアンモン角部分)、海馬CA3とCA1を左右の区別をして損傷し、その時のコントロールマウスとivマウスの記憶機能と神経活動を調べる。固有海馬やCA3を左右別に損傷すると、構造的非対称性を構成する各要素をそれぞれ残した神経回路を持たせることができ、海馬の構造的左右非対称性や海馬と他の脳領域との関係性を考察することができる。CA1を左右別に損傷すると、コントロールマウスでは左右非対称性を保持したまま、CA3-CA1経路の同側投射と対側投射の機能を調べることができる。その実験結果から、どの非対称成分が記憶に関与しているのか、あるいはどの非対称成分が海馬関連ネットワークの特徴的な神経活動に関与しているのかを、投射経路ごとに分離することを試みる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Methylglyoxal (MG) and cerebro-renal interaction: does long-term orally administered MG cause cognitive impairment in normal Sprague-Dawley rats?2014

    • 著者名/発表者名
      Watanabe K, Okada K, Fukabori R, Hayashi Y, Asahi K, Terawaki H, Kobayashi K, Watanabe T, Nakayama M
    • 雑誌名

      Toxins (Basel).

      巻: 6 ページ: 254-269

    • DOI

      10.3390/toxins6010254

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transient decline in hippocampal theta activity during the acquisition process of the negative patterning task.2013

    • 著者名/発表者名
      Sakimoto Y, Okada K, Takeda K, Sakata S.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e70756

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0070756

    • 査読あり
  • [学会発表] Left-Right Asymmetry in Hippocampal Circuitry is important for Spatial Recognition Memory2013

    • 著者名/発表者名
      Kana Okada, Kozue Takeda, Yuya Sakimoto, Isao Ito & Shogo Sakata
    • 学会等名
      121th Annual Convention of the American Psychological Association
    • 発表場所
      Hawai’i Convention Center (Honolulu)
    • 年月日
      20130731-20130804
  • [学会発表] Behavioral flexibility inhibited by cholinergic interneurons in the dorsomedial striatum2013

    • 著者名/発表者名
      Kana Okada, Kayo Nishizawa, Nobuyuki Kai, Ryoji Fukabori, Akira Shiota, Masatsugu Ueda, Yuji Tsutsui, Natsuki Matsushita & Kazuto Kobayashi
    • 学会等名
      第36回日本神経科学大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      20130620-20130623

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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