研究課題/領域番号 |
25590212
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
鈴木 直人 同志社大学, 心理学部, 教授 (30094428)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感情語 / データベース / 辞典 / 国際情報交換② |
研究概要 |
平成25年度は、当該研究の目的にとって基礎となる感情語の抽出をすることを目的とした年度であり、次年度に行う本調査の準備と位置づけた年度であった。また、多くの研究補助者の協力を特に必要とする年度であった。感情語の抽出を行うために、呼び調査として大学生役250人に感情語として思いつくものを自由筆記させた。その結果、心理学的には感情語と位置づけられないような単語がかなりの割合で混じり、研究者が学問的にとらえている感情語との間に大きな乖離が存在することが伺われた。このため、申請書には記載していなかったが、一般的にどのような単語が感情語として捕らえられているかについて調査を実施することにした。 この目的で全国を北海道・東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州・沖縄の6地区に分け、外部調査会社に依頼して、各地区150名(男子75名、女子75名)、計900人にアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、感情語として思いつくものを、思いついた順に20単語あげさせるものであった。同様に、ポジティブな感情、ネガティブな感情、ポジティブでもネガティブでもない感情を表す単語、感情を表すと思われるオノマトペーに分け、思いつくままに20語まであげるように求めた。このとき年齢も18歳から70歳の範囲でなるべく等分になるように依頼した。 こうして得られた単語、延べ約7万2千語を、心理学を学ぶ大学院生20名に感情語と捉えてよいかどうかを評価させた。現在その結果を集計し終えたところである。まだ解析途中ではっきりしたことはいえないが、感情語としてあげられた単語は、怒りのように基本的に感情そのものを表す単語、感情の概念を表して入るが、感情そのものをあらわしているわけではない単語、ある単語が感情を表すように形容する単語、比喩的に感情を表す単語、オノマトペーなどに分類できるのではないかと予想している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感情語の抽出に関しては、一般人が感情にかかわる語としてあげた単語が、感情を表す単語として無理がないかどうの調査がようやく終わったところで、まだ、平成25年度の目的であった本調査で使用する感情語の確定にいたっていない。しかしながら、データの収集は終わっており、近々に確定できるものと思っている。 またもう一つの感情語の収集に関しては、過去5年分の日本心理学会での発表論文集で、どの感情が扱われていたかについて調査した。このデータもようやく抽出がくぁっ他ところで、まだ、結果をまとめるにいたっていない。 連想法を用いた研究に関しては、今年度感情語の抽出にいたらなかったため、次年度に回さざるを得なかった。しかしながら、感情語の日韓比較の目的で同様の感情語の再帰的連想法を用いてかねてより進行中であった研究は、実験が終わり、韓国からの留学生が論文かを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、本研究の核心にかかわる年である。上述したように、当初大学生に実施することを予定していたが、規模を拡大して、全国の成人を対象とした感情語の調査を実施した。このため、研究の進行に若干の修正が必要となったが、今後の進め方は申請書に沿った方法で進めることができると考えている。 具体的には、感情語として抽出した語を用い、その感情語がどのような場面で使用されるかを調査し、感情語の使用場面集の作成を目指すことを第一義的な目的とする。この場面集の作成が完成した後、バックトランスレーションの手続きを行う。このバックトランスレーションの手続きは、申請書に記載されていない手続きであるが、ぜひとも必要な手続きであると考え追加することにした。こうして完成した感情語使用場面集を用い、感情心理学の研究者に、配布し、それぞれの場面にどのような英単語を割り当てるかを調査する。 なお、平成25年度に実施予定であった雑誌、書籍で扱われている感情語の頻度の調査は、パイロット調査の結果、労多くして、得るものはあまりないことなどから、取りやめることにし、PsychoINFOなどのデータベースを用いた調査で代用することにしたい。 このほか、全年度実行できなかった、抽出した感情語を用いて再帰的連想実験を行う予定をしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の執行した人件費は依頼した内容が複雑であったため、人によって課題の遂行に要する時間が20時間から25時間と違っていた。このため、最後の課題遂行者からの請求が出るまで、支出が確定しなかった。この課題遂行に要した金額が予定していた金額よりも若干少なかったため、3,590円が未使用で残ることになった。 執行残高3,590円は平成26年二使用する予定である。
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