研究実績の概要 |
本研究は、2013年度に全国の約900人を対象として行なった感情語の収集から始まり、収集された単語の内,20人の大学院生による評価で90%以上の者が感情語であると判断し,かつ全国調査で5人以上が感情語として指摘した単語を抽出したところ72の感情語が抽出された。これまで550の感情語があるという報告がみられるが,実際に一般人が感情語と思っている単語は大幅に少ない可能性があることが明らかとなった。こうして得られた72の感情語を,どのような場面で使用するのかを書かせる全国調査を,2015年度,調査会社に依頼して実施した。調査は全国を11地区に分け,40歳以上(480名),40歳未満(480名)の2群に分けて調査を行った。なお性別は男子593名,女子407名であった。なお,72の単語は4つのグループに分割し地域,年齢の偏りが無いように,すなわち11地区の40歳以上,40歳未満の人数が出来るだけ偏ることが無いように配分した。このようにして得られたそれぞれの感情語に対する使用状況の回答を、回答内容に基づいてKJ法的に分類をする作業に取り掛かったがデータが膨大であり、まだ、それぞれの感情語毎の場面を特定するに至っていない。また、昨年度実施した感情語のファジー調査の結果も解析中のままになっている。このため、28年度に継続申請を行い認められた本研究を28年度はほとんど進めることができず、補助金も未使用に終わった。 28年度で本研究期間が終了するため、今後の研究の推進は、個人研究費を充てて行う。使用状況の分析の終わり次第、各感情語の使用場面、各1~3場面からなる質問紙を作成し、日本人感情研究者及び国際感情学会(ISRE)メンバーの会員ネットワークを使用して、回答を得る。この比較を行なうことで,日本で使われている感情語と外国で使われている感情語の対応関係が明らかになるものと思われる。
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