研究課題
本研究は発達障害の多様な症状に応じた多角的なテストバッテリーを用いたハイスループットかつ高精度な発達障害評価システムの構築を目的とした。平成25年度はテストバッテリーの構築を行った。情動性のテストとしてLight/dark transition test(LD)、新奇場面での自発活動性のテストとしてOpen-field test(OF)、社会性のテストとしてCrawley’s social interaction test(CSI)、居住環境での活動性テストとしてHome-cage activity test(HA)、固執性のテストとしてY-maze、学習・記憶のテストとしてFear conditioning test(FC)、感覚調整機能のテストとしてPre-pulse inhibition test(PPI)から構成されている。C57BL/6J系統の雄マウスを用いた基礎データの収集を行い、再現性の高い高精度なテストバッテリーを構築できたことを確認した。平成26年度にはこのテストバッテリーを評価するため、既存の発達障害モデルマウスを用いて実験を行った。ENU変異マウスであるB6-Grin1Rgsc174 は注意欠陥・多動のモデル動物であるが、本研究で実施したテストバッテリーではOFと HAで多動を示した。また、CSIでは新奇物体へ対する興味は強いが他個体への興味はやや低い、FCでは学習・記憶の低下がみられる、PPIでは驚愕反応強度が小さくPre-pulseによる抑制率も低いなどの特徴が示された。多動、社会性(他個体への興味)の低下、学習障害などは発達障害でも広くみられる症状である。これらの結果から、本研究で構築されたテストバッテリーは発達障害に特徴的な行動を検出し、評価することのできる高感度なテストバッテリーであることが示された。
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Development.
巻: 141 ページ: 4763-71
10.1242/dev.114520