研究課題
教員養成における中心的な柱として「理論と実践の往還」があげられる。理論とはいわゆる授業科目であり、実践とは主として実習を指す。実践的な指導力の基盤として、実習科目を盛り込み、しかも実習の省察も重要な学修として位置づけながら、全体としてのカリキュラム構成について、各大学も創意工夫した実施をしている。しかし、いわゆる主免教育実習を除く実習科目はさほど多くはないのが現状である。本学では、入学初年度から、「教育フィールド研究」として、教育委員会、校長会等との連携により公立小学校を含めた学校現場での学びを継続的に取り組んできている。その中では、実践的な指導力の基盤を身につけるとともに授業研究のみならず、学校組織や具体的な子どもたちへの指導の在り方を学んでいる。このことの意義を再度確認するとともに、関連して教職大学院発足以後、教職大学院が現職教員の教師力向上についてのカリキュラム構成や授業についての在り方が検討されているにも関わらず、教員養成の一環としての位置づけや、教員養成の全体にどのように関連付くかについては不明確なのが現状である。他大学の調査においても教職大学院が、いわば独立の組織形態の中で、学部教員養成との有機的な連携がとられている実態はほぼなかったといってよい。教員養成における「実践」としての「実習」の在り方についての課題を明らかにするとともに「実習」を共通のキーワードとして、学部における教員養成と、教職大学院での実習の意義づけ連携について検討する中から、教員養成全体の可能性を探った。