研究課題/領域番号 |
25590217
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北村 勝朗 東北大学, 教育情報学研究部, 教授 (50195286)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学校コーチング / 東日本大震災 / 教師 / 実践的指導力 / コーチングプログラム |
研究実績の概要 |
時間的な余裕がない学校生活の中で,専門家にゆだねるカウンセリングによってではなく,いかにして教師自身が日常的なかかわりを通して児童生徒のこころのケアをしていくかは,切実な問題となっている。特に東日本大震災の被災地の学校では,日々の生活の中で心理的なケアが必要とされる児童生徒が多数存在している。こうした状況の中で,相手を承認し,傾聴し,問いかけることで,相手の自律的な行動を導くコーチングによるかかわりは,その短期的問題解決性,相互作用性,日常性,支援性という点で,非常に有効なものと考えられる。カウンセリングよりもより問題解決志向的で,知識技能を伝えるティーチングよりもより支援的なかかわりであるコーチングに注目し,学校教育現場でのコーチング実践の詳細な分析を通して,優れたコーチング実践における思考・行動特性を実践的指導力としてモデル化し,そうした指導力を育成する学校コーチングプログラムを開発することが本研究の目的である。本研究により,児童生徒の個性や才能を伸長する支援的かかわりに対して,実践力のある新しいパラダイムを提供することが可能となる。 平成26年度は,前年度の調査結果を引き継いだ形で,コーチング実践の追跡的調査と分析を行った。具体的には,東日本大震災の被災地の学校の教師186名を対象とした自由記述の質問紙調査,および10回の学校教育実践視察を行い,実際の現場における課題,問題状況の把握,および実践の記述を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の調査計画は,前年度行った横断的調査・分析結果に基づき,特徴的な行動や反応を示した対象者の中で調査協力への承諾が得られた対象者に対してコーチング実践の継続的な追跡調査を実施することであった。上記目的はほぼ順調に実施され,調査では,学校生活の中でのかかわりの詳細について,10回に渡る実際の指導現場での観察を通して,延べ200名の教師の行動観察が行われ,また特徴的な対象者へのインタビュー調査が実施された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成27年度は,前年度までの調査で明らかになった知見や理論的背景を踏まえて,研究の総括を行うとともに,学校コーチングプログラムを構築する。また,開発されたプログラムの有効性,妥当性を検証し,プロトタイプを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施した調査が計画以上に円滑に進んだこと,および研究成果発表旅費が当初予定よりも低額におさまったことから,旅費において次年度使用額が生じた。また,調査データ分析の効率化により,人件費・謝金が低額におさまったことから,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度にあたり,研究成果の総括と国内外の研究成果発表に使用する計画である。
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