学校教育において支援的なかかわりとしてのコーチングのニーズが注目されている。児童生徒の自律的な行動を導く日常的なかかわり行動として,特に東日本大震災を間近で体験した児童生徒への心理的なケアにおいてその重要性が報告されている。しかしながら,その有効性に関する十分な解明がなされないまま経験に基づいた実践がなされており,学校教育におけるコーチングを学術的に取り上げ,理論化・体系化し,教師のための有効なプログラムとして示されたものは皆無である。本申請研究では,コーチングの日常性及び自律性支援作用に着目する。そして,①児童生徒の自律的行動を導く作用としてのコーチングの特性の解明とモデル化,及び②学校教育現場に利用可能なコーチング・プログラムの開発・評価とプロトタイプの提案を行う 最終年度の平成27年度は、本研究課題の中心テーマとなる、学校教育における問題解決志向的な支援的かかわりとしてのコーチングに注目し、東日本大震災を経験した学校教育現場でのコーチング実践の詳細な分析を行ってきた。分析を通し、優れたコーチング実践における思考・行動特性を実践的指導力としてモデル化し、そうした指導力を育成する学校コーチングプログラムの開発を行った。具体的には、コーチングがどのように児童生徒の学びに作用するのか、またどのようにしてそうした作用が導かれるのか、どのようなかかわりの場によって可能か、モデル作成およびその妥当性の検証を行った。
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