研究課題/領域番号 |
25590219
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
船守 美穂 東京大学, 教育企画室, 特任准教授 (70377141)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オンライン教育 / 反転授業 / ブレンド型学習 / アクティブ・ラーニング / コンピテンシー・ベースド教育 / 高等教育のアンバンドリング / デジタル化時代 / 大学改革 |
研究概要 |
研究初年度であったため、大規模公開オンライン講座(MOOC)の全般的動きに関する動向調査(文献調査、WEB調査、国際会議等への参加)、MOOCの試用調査、MOOC実施大学調査を行った。 MOOCは2012年初頭に米国有力大学により開始され、その後瞬く間に世界の大学を席巻した。米国ではMOOCが同国内の高等教育財政逼迫に対する解決策として州や連邦政府により追求されたという経緯もあり、2013年頭にはMOOCの法制化の動きにもつながった。他方、2013年後半になると、MOOCが主に既学位取得者により受講されており、高等教育学位を必要とする層に届いていないこと、そのドロップ・アウト率も9割近くと高いことが認識され、行政からのMOOCへの期待は沈静化に向かった。 一方、安価かつ大規模に高等教育を実現できる手段としてのオンライン教育についての期待感は残り、2013年後半からはオンライン教育学位プログラム開設に向けての動きが出てくる。同時に、大学側からはMOOCやオンライン教育プログラムの開発を学外者に対してではなく、キャンパス内の教育をより良いものとしようとする動きが出てくる。反転授業やブレンド型学習の取り組み開始である。 オンライン教育モジュールが多数開設されるようになると、既知の学習内容を一学期間かけて学習することの意味が薄れ、事前判定テストの実施により、既知の内容については単位を自動的に付与するというダイレクト・アセスメント・メソッドによるコンピテンシー・ベースド教育が進行するようになる。この教育方法はこれまでも存在したが、連邦政府がこれへの学資援助の適用を認めると発表したため、この動きが加速した。更にオンライン教育モジュールにより、高等教育のアンバンドリング化が加速すると言われた。 これら2013年内の動きを本研究で追った。 本年度はMOOCに関する講演を8回行い、論考を4本執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のテーマであるMOOCの隆盛とその後の展開が極めて速かったため、この動きを逐次追い、記録するだけで十分な成果を得られた。 また、世界においてもMOOCの動きはウォッチされているものの、米国は主に米国内の動きしか追っておらず、欧州は欧州内の動き、アジア諸国についてはそれぞれの国ごとに動きを展開しているのみのため、本科研費受託者ほどに米国・欧州・アジア・日本といった世界的視野をもって調査をしている例は少ないものと思われる。 *なお、本研究申請時点ではMOOCの日本語名称が確定していなかったため、「オンライン教育大学コンソーシアム」としていたが、その後「大規模公開オンライン講座」という名称が一般的となったため、本実績報告書では後者を使用している。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度(H25年度)は、MOOCが開始、広がりを見せた米国の動きを中心に追った。 本年度はアジアや欧州諸国の全般的な動きを追うとともに、一部の先駆的な大学の実施例について事例調査を行う。 MOOCの動きがMOOCのみに留まらず、物理的キャンパスを有する大学がオンライン教育に積極的に取り組んだり、反転授業やブレンド型学習といった方法でキャンパス内の教育をより良くすることの取り組みにもつながっていることから、こうした動きも積極的に調査する。 研究最終年度でもあるため、随時、研究のとりまとめを行い成果報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
先進事例調査となる米国西海岸(カリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、他)への調査につき、先方との日程調整の結果、年度内ではなく4月に訪問調査することとなった。 2014年4月6-13日に米国西海岸調査を行った。
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