二年目および最終年度では、MOOCから派生して世界的に拡大した反転授業の実際の事例を調査するとともに、MOOC発祥の地である米国以外の、アジアや欧州におけるMOOCへの対応や、その他のオンライン教育等の先進事例を調査した。 反転授業においては、米国の大学の事例とともに、国内で取り組みが先行している高校の事例を調査した。反転授業には、単なる授業と宿題の場所を反転させるという以上の、多様な形態があることが分かると共に、一般には反転授業を導入すれば主体的学びが実現し、教育がうまくいくいう先入観があるものの、必ずしも、そのようにはいかず、反転授業を成功させるためには授業における協働学習のデザインをする必要があることが判明した。これについては、『主体的学び(第2号)』に寄稿した「反転授業へのアンチテーゼ」において、詳説してある。 アジアおよび欧州の大学においてMOOCは多くの場合、国際的な発信の窓として捉えられ、取り組まれている。但し、オンライン教育への取り組みは、それが学内のLMS上のものだけであるにせよ、MOOC以前からある場合が多く、それらを学外向けに洗練させ、公開している。 他方、大学の教育改革の手法としてMOOCやオンライン教育を積極的に活用する動きも見られる。たとえば韓国科学技術院や香港科学技術大学などでは、学部授業の2-3割をブレンド型学習とする目標をたて、積極的にオンライン教育を導入している。また、欧州では、オープンエデュケーションの考え方が進んでおり、LMS等に情報を集約するのではなく、教員・学生の各人がブログを有し、これを有機的に連結する技術のもと、"Distributed Learning"を推進する動きが見られる。日本においても参考としたい取り組みである。 今年度は、最終年度ということもあり、本内容に即し、論文9本、講演12回の成果を得た。
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