研究課題/領域番号 |
25590224
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
久保 富三夫 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00388084)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自然環境 / 教育課程 / 少人数学級 / 小・中の接続 / 保護者の融合 / 地域住民の支援 |
研究概要 |
小規模特認校制度は、法規上の明確な根拠がないので、文部科学省でもその所在を把握していない。先行研究としては、、2003年から2004年にかけての門脇正俊氏による調査では242校(216小学校、26中学校)とされており(門脇正俊「小規模特認校の類型論的考察」『北海道教育大学紀要(教育科学)』第56巻第1号、2005年8月、47頁)、また、長谷夏哉・斎尾直子氏によると2007年度には275校であるとされている(『日本建築学会計画系論文集』第74巻第642号、2009年8月、1751頁)。しかし、その後の変動があると推測された。そこで、2013年度は、2年次の当該校対象調査の基礎資料を獲得するために、小規模特認校の所在確認に努めた。具体的には、2013年11月から12月にかけて、47都道府県教育委員会と20政令指定都市教育委員会(計67教育委員会)を対象として、郵送方式により、2013年度において小規模特認校制度を導入している学校を調査した。この調査は、久保がインターネット等により把握した全国約350校の学校名を記載した「全国小規模特認校一覧」を同封し、それを修正してもらう形で実施した。調査対象の67教育委員会のうち63教育委員会から回答を得た。 その結果、2013年度において同制度を導入している学校は、421校(小学校349校、中学校72校)であり(一部に小規模校とは言い難い学校も含まれる)、激増していることが判明した。また、2010年度比で2013年度の在籍者数が1.2倍以上増加している学校は50校(小学校37校、中学校13校)、逆に0.8倍以下に減少している学校は120校(小学校98校、中学校22校)であった。この調査により、2014年度に各学校対象の調査(教育的意義とその実現要件)を行う準備が整った。 学校への訪問調査は停滞したが、大阪府南部の学校を対象に3回実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度は、申請時には予期していなかった大学における新規事業(初任者研修高度化モデル事業)担当および教育実践総合センター長を拝命したため、関連業務が激増した。そのために、計画していた小規模特認校への平日訪問実地調査を実施する時間がほとんど確保できなかった(2校3回のみ)。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は、二つの柱で調査をおこなう。第一に、近畿地方(2府4県)のすべての小規模特認校を対象とした訪問実地調査をおこなう。校長はじめ教職員、保護者、地域住民等、出来るだけ広範な人たちからの聞き取り調査を実施する。これは、6月から9月にかけて実施する。また、近畿地方以外に、地域ぐるみで小規模特認校制度を発展させている先進事例および困難に直面している事例を訪問調査により把握する。第二に、2013年度調査により把握した全国の小規模特認校対象調査を郵送方式で実施する。その際、設置者、保護者、地域住民の意見が把握できるような調査を工夫する。できれば、部分的ではあっても、卒業生の意見を把握したいと考えている。 これらの調査を素材として、研究課題である「小規模特認校の教育的意義とその実現のための要件」を考察しようと考えている。 勤務大学における業務は、2014年度はさらに増大したので、前年度の轍を踏まぬように、4月下旬には近畿地方の小規模特認校校長に対して、訪問日程の伺いを送付し、調査日程の調整・確保をこころがけたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時に予期していなかった勤務大学における役職・新規事業担当に就き、関連業務が激増したために、当初計画していた、近畿地方の小規模特認校、および全国の先進事例の訪問調査が極めて停滞したことが主要な要因である。 2014年度は、早期に訪問調査計画を確定し、近畿地方のすべての小規模特認校調査を実施し(複数回の訪問調査も含む)、また、全国の先進事例把握のための訪問調査、困難に直面している事例把握を行うので、多額の旅費を必要としている。 また、郵送方式による調査も、当初計画の学校対象だけではなく、設置者および保護者(PTA役員など)も対象とするので、通信費も予定額を必要としている。
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