「小規模特認校」制度は法規に明文規定がないのでその所在が明確ではない。そこで、2013年度は都道府県教育委員会等の協力により所在調査を実施し「全国小規模特認校一覧」を作成した。第一に小規模特認校が存在しないのは8県であり、学校数・率とも鹿児島県が最多・最高である。第二に13年度の総数は444校(小368、中76)であり、6年間で1.6倍に増加している。第三に小規模特認校のうち14年度在籍数が10年度に比して増加している学校は136校:30.6%(小107、中29)であり、制度導入が在籍数増加に直結しないことを示している。しかし、他方では30%強の学校が在籍数を増加させていることは制度導入の効果を示しているとも言える。第四に在籍数増加の学校のうち14年度在籍数が10年度に比して1.2倍以上に増加している学校は51校:11.5%(小37、中14)、逆に0.8倍未満に減少している学校は167校:37.6%(小146、中21)である。 2014年度は、近畿地方を中心に27校(近畿地方の17校。他に北海道4校<1校は小・中併設>、栃木県2校、福岡県2校、沖縄県2校<2校とも小・中併設>)および4市の教育委員会事務局訪問調査を実施した。同制度の教育的意義は、(1)地域の学校を学年単級の形態で維持存続でき、地域住民の結びつき・交流の場が確保される。(2)少人数学級の実現により、一人ひとりの理解を確実にできる。(3)大規模校では適応しにくかった子どもがゆったりした人間関係と自然環境の中で育つことができる。(4)地域の子どもと地域外の子どもという異なる環境の中で生活している子どもが交流できる。これら教育的意義を実現するためには、自治体規模に相応した校数、魅力ある教育課程、通学手段の保障や教員の加配(複式解消・特別支援)など、不登校や発達障害への理解を含めた地域ぐるみの学校づくりが肝要である。
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