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2013 年度 実施状況報告書

「特定の親密な友達」の形成が行動制御困難な幼児に与える影響についての実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25590229
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関京都府立大学

研究代表者

服部 敬子  京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (70324275)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード行動制御困難な幼児 / 問題行動 / 親密な友達関係 / 集団づくり
研究概要

保育場面で他の子どもへの乱暴な行為が目立ち、注意力の面で指導が困難な子どもに焦点をあてて、「特定の親密な友達関係」を形成する有効な指導方法と、そうした関係が形成される前後における行動面、及び、発達検査上の変化を明らかにすることを目的として、7か月間1名につき月に2回、3か園で年中児1名(発達の遅れなし)、年長児3名(発達の遅れあり2名、なし1名)の保育観察と保育者とのカンファレンスによる事例研究を行った。
・A児:4歳9か月~5歳2か月。発達検査上のアンバランスさはなく通過状況も年齢相応で「問題」はみえないが、保育場面では少しでも気に入らないことがあると「キレた」状態になり大きなモノでも放り投げるなど、乱暴や暴言が目立った。「特定の親密な友達」がいるが、相手の男児が「いいなり」になることで親密さが維持されていた。保育者との1対1との関係で「受け止める」だけでなく、友達のなかで「認めてもらう」「共感」する心地よさが実感できるように具体的なアドバイスを行った。A児の友達関係と行動が大きく変化したのは、12月の「劇発表」に向けてA児を含む3名が同じ役になり、「ここはどうするか」を一緒に考えて見せ合い、「やってみてどうだったか」を互いに言い合うような取り組みであった。
・B児:5歳11か月~6歳6か月。発達年齢は3歳後半で、時折「キレた」ように暴れる。観察当初は友達よりも担任への要求が強かったが、変身してごっこ遊びをする友達関係が形成されてくるとともに、乱暴な行動がみられなくなった。
・C児:6歳2か月~6歳9か月。発達年齢は3歳後半で衝動的な問題行動を多発。憧れの同年齢男児がいたがその児から拒否的な態度をとられるようになり、年少児に支配的に関わるようになった。C児が遊べそうなことに誘っても最初に抜けてしまい持続できない。ふざけたり年少時を威嚇したりする行動は卒園時までおさまらなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書に記載した研究目的は、先に概要を記した<研究1>と、これまでの10年間に保育園2カ園で保護者同席のもとで行ってきた4歳児クラスの全員の発達検査、及び、育児・保育上の悩みなどを聴取したデータの分析を行う<研究2>によって達成される。
<研究1>はフィールドとの調整の関係で保育観察の開始時期が若干遅れたが、おおむね順調にすすめることができた。<研究2>では、保育場面での問題行動と保護者の主訴、発達検査の項目別通過状況との関連を分析する予定であるが、入力作業に時間を要している。

今後の研究の推進方策

<研究1>では、今年度年中児で事例研究を行ったA児を継続して対象児とし、現在は目立たなくなった乱暴な行動がこのままおさまるのか、「いいなり」にさせるのではない対等で親密な友達関係を形成・維持できるかどうかを追跡する。一方、親密な友達関係を形成することが困難で問題行動の軽減ができなかったC児のような子ども(発達上の遅れがある年長児で周りの子どもから拒否される傾向にある)を対象児として選定し、親密な友達関係を形成する保育指導上の工夫について再検討を行いたい。これらの事例からは、衝動的な問題行動が目立つ子どもには、親密な友達関係が形成しにくいケースと、「いいなりになる」相手を選んで「親密」な友達関係を形成しているケースがあると考えられる。さらに事例を収集して精緻な観察を行っていきたい。
<研究2>については、入力作業を行う人員を増やし、早急に分析を進める。

次年度の研究費の使用計画

資料400枚のコピー代を計上していたが、すでにコピーされた資料があったため不要となった。
入力作業に要する謝金費用に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 保育者の悩みの質と関連要因の研究(1)-同僚性に着目して-2013

    • 著者名/発表者名
      黒澤祐介・服部敬子
    • 学会等名
      第66回日本保育学会
    • 発表場所
      中村学園大学・中村学園大学短期大学部
    • 年月日
      20130511-20130512

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公開日: 2015-05-28  

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