研究課題/領域番号 |
25590238
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
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研究分担者 |
前馬 優策 甲子園大学, 総合教育研究機構, 助教 (00632738)
川口 俊明 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20551782)
若槻 健 関西大学, 文学部, 准教授 (40421276)
高田 一宏 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80273564)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学力格差 / 男女格差 / 階層間格差 / 効果のある学校 / たしかな学力向上路線 / ゆとり教育路線 |
研究概要 |
当該年度においては、予定通り、大阪府内の公立小・中学校において学力実態調査を実施することができた。今回の調査は、1989年、2001年に続く、第3回調査としての位置づけをもつものである。 同和地区の子どもたちの学力を把握するために実施された1989年の第1回調査を参考にして、研究代表者(志水)は、東京大学教育学研究科に在職中の2001年、同じ対象校において第2回調査を実施した。当時は、いわゆる「学力低下論争」が盛んに取りざたされていた時期であり、子どものたちの学力が本当に低下したと言えるのかどうかを検討するために行ったのが、その第2回調査であった。今回の第3回調査は、それらふまえ、子どもたちの学力格差の現状を把握するために計画・実施された。 対象となった学校は、小学校25校、中学校14校の合計39校であり、すべての学校が調査に応じてくれた。調査の時期は、2013年11月~12月。回収後の2104年1月~3月は、データセットの作成・整備および第一段階の分析を行った。その結果明らかになったのは、以下のような事実である。 ①子どもたちの学力格差は、2001年の時点よりも2013年の方が改善傾向にある。2003年からの「たしかな学力向上」路線が、子どもたちの学力の回復傾向を生みだしたと推測できる。②学力と家庭背景の関係をみた場合にも、その関連性は2001年の方が大きく、2013年では関連が相対的に小さくなっていた。ただし、家庭の経済・文化的状況が子どもの学力形成に及ぼす影響はかなり大きいことに間違いはない。③教育的に不利な環境のもとにある子どもたちの基礎学力の水準を下支えしている「効果のある学校」の存在が今回も明らかになった。その出現率は、2001年より今回の方が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」の達成度は、上にみたごとく順調であると評価しうる。すなわち、予定していた実態調査を十分な形で実施することができ、また調査データの分析も予定通りの形で進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の課題は、以下の2つである。 1)調査データに関して、第二段階の、さらに進んだ分析を行い、秋に予定されている日 本教育社会学会において、分析結果の体系的な提示を行う予定である。 2)第一段階の分析で導き出された複数の「効果のある学校」をピックアップし、それら の学校で成果があげられている「秘訣」について、継続的な訪問調査を実施する予定であ る。 上の2つの作業によって導き出された知見は、年度末に報告書の形での公表を考えてい る。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者に配分した分担金のうちで、研究の進行上使い切ることができなかった金額が生じたため。 本年度はその分(25000円程度)を上乗せした額を当該研究者に配分し、適切な研究計画のもとに執行することを呼びかける。
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