研究課題/領域番号 |
25590243
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
櫻井 里穂 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (50509354)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自尊心 / 子ども / 生きる力 / いじめ / 学校教育 / ケニア / 日本 / ブータン |
研究概要 |
本研究は、アフリカ・アジアの事例から子どもの自尊心の形成過程と「生きる力」や「いじめ」との関連性および学校教育への影響を検証する、比較教育・教育開発・心理学の分野横断的な研究である。研究初年度である平成25年度は、その位置づけを「萌芽期」とし、研究の土台作りから始めた。 具体的には前半は、関連する領域(学校文化、自尊心、いじめなど)に関して先行研究を行った。その上で、2013年9月にはケニアのナイロビの公立小学校、複数校において、第8学年(日本の中学2年生)を対象に教育調査を行った。この時期を選んだ背景には、ケニアは1-3月、5-7月、9-11月の3学期制で、9月の半ばというのは最も児童が落ち着いている時期であるということがあったが、予期せぬ出来事は起こり、訪問時、教員組合によるデモが行われており、学校は公的には閉鎖されていた。しかしながら、途上国の面白いところで、それぞれの学校には管理職教員(多くの場合、日本の校長先生にあたる、Head teacher と呼ばれる先生方)と、第8学年にあたる児童は登校していた。8年生が登校していたのは、ケニアの卒業試験(KCPE)のための勉強をするためであるが、いかに受験勉強が大切かどうかを暗に示す出来事であった。幸運にも、調査対象が第8学年であったため、調査は予定通り行うことができた。 10月以降は、H市の公立中学5校において、同様の調査(こちらは悉皆調査)を行い、合計約2500名の生徒から有効回答を得ることができた。 さらに、ケニアにおける調査結果を、2014年3月、トロントで行われた第58回米国比較教育学会にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は、当研究初年度であったが、海外での現地調査(於、ケニア)、そして日本の政令指定都市での調査ともに順調に予定通り終えることができた。また、自尊心に注目した、日本の教育問題と途上国の教育問題に関する研究ということで、平成25年6月22日には、中国新聞に本研究が紹介された。そしてこの新聞を目にした校長先生より講演依頼を受け、小学校で講演を行った。 研究結果に関しても、2013年3月には、米国比較教育学会にて口頭発表し、世界に向けて研究成果を発信することができた。また、日本で調査協力していただいた各学校においても、それぞれ調査を報告しに行くことができた。 さらに、2013年10月に、メキシコにおいてもパイロット研究調査を行うことができた。 以上の観点から、当研究は「当初の計画より若干進展している」、と言うことができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本来の予定以上に進んでいる当研究であるが、日本の中学において当研究が評価が良かったため、平成26年度、平成27年度と続けて学校調査(悉皆調査)を行うことになった。従って、縦断的調査として、本年度も日本の政令指定都市において2500名程度を対象とした調査を行う。 また、今年度はケニアでの調査結果を英語論文にして国際的なジャーナルを通して発信する。口頭発表は、秋に行われる日本教育社会学会にて、日本での平成25年度の学校調査(悉皆調査)結果を口頭発表する。 さらに、日本の調査校からの希望もあり、知見共有として、以前から交流のあるブータン教育省基礎教育課の課長の招聘を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に繰り越す3716円は、使い切らなかった端数である。アンケート調査用紙2500枚の入力を依頼した会社に、割引をしてもらった残りの金額である。 子どもの自尊心に関する書籍の購入に回す予定である。
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