本研究は、アフリカ・アジア・中南米の事例を用いて、子どもの自尊心の形成過程と「生きる力」「いじめ」との関連性および「学校教育への影響」を検証する、比較国際教育・教育開発・心理学の分野横断的な研究である。研究3年目にあたる平成27年度は、その位置づけを研究の「総括期」と位置づけ、研究をまとめた。 具体的には、前年度に続き、政令指定都市にある学校(複数校)にて、質問紙調査および聞き取り調査を行い、生徒2200名以上から有効回答を得ることができた。さらに、本研究結果を2015年7月に鳴門教育大学で行われた「国際教員養成協議会(ICET)第59回世界大会」で、英語で口頭発表を行い、海外から参加の研究者からも多くの質問やコメントを受けた。現在、英語の論文にまとめているところである。 本研究は、途上国と日本の事例を用いて、学校教育現場への示唆や、教育の質の向上に資することをその目的としたが、子どもがいじめの加害者になる場合や被害者になる場合と、自尊心の形成との関係、そして、家庭での家族との関係や、コミュニティの影響、さらに、勉強の達成感や学校での満足感も変数に入れ、このような複数の要因がどのように子どもたちに影響を及ぼしているのかを国際比較検証した。結果として、最も多感な時期とされる子どもたち(中学生)の心の形成過程に示唆を得られる研究となった。 また、本研究の研究結果(一部)は中国新聞に2015年9月15日30面に掲載された。
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