研究課題/領域番号 |
25590249
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研究機関 | 育英短期大学 |
研究代表者 |
大佐古 紀雄 育英短期大学, その他部局等, 准教授 (10350373)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高等教育 / 保育者養成 / 国際情報交換(フィンランド) |
研究実績の概要 |
当該年度は、当初訪問調査を計画していた国のうちフィンランドを対象にした現地調査をオウル市、ヘルシンキ市およびその周辺を拠点に実施した。フィンランドでは、2012年から13年にかけて、当時のFINHEEC(フィンランド高等教育評価評議会)とFEEC(フィンランド教育評価審議会)とが連携して、幼児教育セクターにおける従事者の養成を対象とした評価を実施した実績があり、本科研のねらうテーマに大きく合致するため、優先的に調査を行った次第である。ただ、予備調査を進める中で、前提となる当地での幼児教育・保育や保育者養成の制度や実態に関して、日本で得られる情報だけでは一貫した理解を得にくいことがわかり、現地では、上記の評価に関するヒアリングだけではなく、幼児教育・保育および保育者養成の現場そのものの視察とヒアリングも同時に行い、包括的な理解をできる限り完成させることをめざした。また、現地在住の日本人保護者にもご参集いただいてのヒアリングも実施した。 上記評価活動に際しては、養成校ばかりではなく、ステークホルダーも含めて非常に広範かつ詳細な調査が入ったことが確認できている。「養成校を起点としてだれがどのように参画して「よい保育者」が定義づけられ、どのような質のもとで養成されようとしているのか」という視点で調査を進めたが、必ずしも現場と養成校との連携が十分に取れているとはいえない(上記評価プロジェクトの報告書でも指摘されている)など、よい保育者づくりへの参画と質保証の全体像が十分には見えてこない(もしくは未完成か)ままであった。 来年度は、最終年度ではあるが、当初計画していた調査対象国を変更し、さらにフィンランドの状況を深掘りすることを現在検討中である。また、国内活動として、保育教諭養成課程研究会への参加を通じて、キーパーソンとの関係をある程度深めることができた。今後の研究進展の素地としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄にも示したとおり、一国の事情に対して十分な理解を得るのに予想以上の困難があった。幼保一元化はされているものの、保育者をめぐっては単純な制度ではなく、その点の理解と整理が難しかったのである。ただ、保育者養成を対象とする評価を実際に行った実績は非常に興味深く、1回の現地調査だけでは迫りきれなかった部分も多い。ただし、研究自体を広く捉えれば、今年度フィンランドで得た成果自体は非常に大きいと考えており、そういう意味では十分な進展を得たものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のようなことから、ここで当初計画に固執して他国に軸足を移すよりも、フィンランドをさらに深掘りする方が、本年度で最終年度を迎えるこの萌芽研究のよりよい着地点をめざせるものと現状では考えている。したがって、2回目の現地調査を計画・実行して、仕上げを図りたいと考えている。 また、同時並行で日本の状況についても調査を進めたい。養成に関係する団体の関係者へのヒアリングについても、あわせて計画し、フィンランドとのすりあわせをめざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内ヒアリングをはじめとして、一部これまでに計画していた国内旅費を使用する研究を次年度に持ち越す必要が生じたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
国内でのヒアリングや関連する研究会、シンポジウムへの傘下など、国内旅費を使用して推進する研究活動に主に使用する計画である。
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