本研究は、学生支援に関わる研究状況を実践例の紹介と学術的観点からの分析的知見が未分化の状態にあると捉え、それを切り開くための研究的方略として、①多領域から構成される学生支援の構造と全体像を整理しつつ、②近年の大学教育改革の文脈の中で学生支援の位置づけを明らかにするというアプローチによって、学生支援の今後の在り方に寄与しようとするものである。学士課程教育改革全体を通して、学生の成長を促していく体制と環境を構築することが必須となりつつあり、学生支援が、学生生活を円滑に送ることができるようにするための支援としての補助的な機能になることはもちろん、知識と意欲が好循環する回路を構築するための喫緊の課題となってきていることから、ピア・サポートについての全国調査を実施し、課題の析出を行なった。総じて、現代日本の学生支援が、それを構成する諸領域の漸進的改革とその総和であり、それを支える人的リソースや学問領域の枠組によって、個別の「系」や「環」を持つことに留意し、大学全体のマネジメントの観点からの整理を試みた。
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