研究の全体の目標は、 (1)明治10年代以降、ドイツのいかなる科学教育思想・システム(教科書、教材、教授法、カリキュラム等々)が導入され、その思想・システムの特質はどのようなものであったかを解明するため、我が国に導入されたドイツの科学教育の思想(家)(ユンゲ、クリューガー、キッスリング、パルツ、バイエル等)ごとに、その理念、教授法、教材、教科書、内容の選択と構成等々の特質をデータベース化すること。 (2)その際、ドイツ教育学一般の導入動向と合わせながら検討すること。 (3)また、関連雑誌におけるドイツ科学教育紹介記事の収集・分析する。並行して西洋近代科学の導入に関する先行研究を整理し、基本資料にすること。 上記目標に沿って、特に、Fr.ユンゲの著書:『生活共同体としての村の池』を分析するとともに、ユンゲの子であるO.ユンゲの『フリードリヒ・ユンゲ 伝記』を収集し、翻訳、分析した。一方、ドイツ理科教育史におけるFr.ユンゲの位置づけ・評価を探るために、シーレの『リューペンからシュマイルまで 1830年と1933年の間の学校ナトゥールゲシヒテから生物教授への展開』(1981)、マンツマンの『教科の歴史Ⅲ』(1984)、ミューラーの『プロイセンギムナジウムの教科における自然科学的世界像の歴史的展開』(1934)、シェーラーの『自然科学教授の歴史』(1970)等のドイツ理科教育史・ドイツ生物教育史を分析した。
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