研究課題/領域番号 |
25590268
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 慶子 長崎大学, 教育学部, 教授 (40264189)
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研究分担者 |
三浦 和尚 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40239174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 手書き / 視写 / 通読 / 理解 |
研究概要 |
手書きで育成してきたリテラシーに関して、考察するために、まず、学生の学習活動と書字行動との関連を調査した。 1.書字行動の実態(1) 大学生を対象にして、レポート執筆字の書字行動について調査した結果、次のような結果となった[4月→7月]。①1年生[37.1%→9.4%]、②2年生[36.4%→0%]、③3年生[16.7%→0%]、④4年生[0%→0%]。これは、手書き離れを2点において鮮明に示している。つまり、一つめは学年があがるについて手書き離れが進むということ、二つめは大学入学後に一気に手書き離れが進行すること。 2.書字行動の実態(2) 卒論執筆時の書字行動について調査した結果、次のようなことがわかった。①卒論執筆過程で手書きした部分がある[56%]、ない[41.3%]、無回答[2.7%]。また、②「ある」場合は、それがどこかを質問したところ、次のようになった。a構想を練る時[85.7%]、b言葉を選び出す時[23.8%]、c文章を組み立てる時[45.2%]、その他[23.8%]。一方、③「ない」場合は、なぜかを質問した。すると、次のような回答となった(複数回答)。a手書きが面倒だから[2名]、b手書きが[1名]、c編集機能が便利だから[14名]、d書き直しがしやすいから[17名]、eその他[6名]。 3.書字行動の実態(3) ①卒論の下書き段階で、何割くらい手書きをしたか。0割[16%]、1割[30.7%]、2割[21.3%]、3割[13.3%]、4割[5.3%]、5割[5.3%]、6割[2.7%]、8割[0]、9割[0]、10割[1.3%]。②他人の論を引用するときには、1度は手書きをしたか。 ①全く行わない[50.1%]、②ところどころ(4割以下)[38.7%]、③行った(半分程度)[5.3%]、④行った(8割以上)[5.3%]。 以上のように、日本語の核となる漢字を書いて思考するという習慣が崩壊しつつあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
それぞれの専門家との協議や取材を経て、学生が無意識に回答できる調査を設計するのに、想定外の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、書字行動及び書字習慣と、リテラシーとの連関に絞り込んだ調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究申請時には、調査の被験者となる学生に対して謝金を支払うこととしていた。しかし、謝金が支払える交付額でなかったために、計画を変更して行った。 つまり、被験者となる学生には謝金を支払わないで計画で行ったから。 本年度は、昨年度の書字行動及び書字行動の実態調査に基づき、リテラシーとの連関に絞り込んだ調査を行うこととする。
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