本研究は、高機能自閉症スペクトラム障害(HFASD)のある個人の性発達に関する研究の展望及び実態調査に焦点を当て、特性把握及び問題の予防・解決につながる支援手段の開発の出発点となるべく、調査・分析を行った。まず、HFASDの性に関する科学的エビデンスは寡少であり、特に英語圏において出版されている書籍は当事者エピソードや臨床的実践が中心となっている。また、本研究ではHFASD当事者に対するアンケート、インタビューを行い、HFASDの性行動は定型発達とほぼ変わらない点が多い反面、その中核特性によって外部からは分かりにくい形で思春期のつまづきが成人期までの問題に発展する可能性もあることが確認された。
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