研究実績の概要 |
前年度の研究成果を踏まえ、継続して聴覚障害のある幼児の言語指導法として活用される口声模倣に焦点を当て研究を進めた。 まず、前年度に作成した資料冊子「難聴児のための発音指導」をもとに講師2名を招聘し学習会を企画、開催した(6月)。学習会には長野県内および隣県である山梨県から合計約50名の参加者を得た。また、北海道教育オーディオロジー研究協議会講習会(8月)において「言語指導」について講演を行い、その中で,本研究の成果の一部を報告した。さらに日本特殊教育学会第52回大会(9月)において口声模倣場面36場面について、場面数、言葉の選択、教師の指導意図、手法の4つの観点から分析を行った。さらに、口声模倣の前提として補聴器や人工内耳の活用など子供の聴覚活用を促すことが不可欠であること等から、教育オーディオロジーの学習会を企画し(2月開催)、資料冊子「教育オーディオロジー山梨学習会講座資料」を編集、発行した。この中で口声模倣についての研究のまとめを掲載した。 研究全体の成果として、口声模倣が子供の言語発達に応じて意図的に行われていること、口声模倣は直接には表出にかかわるが内容理解に関連していること、対象の言葉は授業展開で必要や言葉、子供の非言語表現の言語化、単語から文への拡充等、授業の展開や子供の表現上必然性が高いものが選択されていること、場面の中では言葉の意味の確認作業が頻繁に行われること、教師は視覚的手がかりを活用する等様々に手法を駆使すること等が確認され、聴覚障害幼児の日本語習得に有効な手法として口声模倣が位置づけられることを明らかにできた。
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