当初設定した3年間の研究計画は順調に進行し、理論研究と調査、実証研究が滞りなく完了し、最終年度を迎えた。予定通り、これまでの研究成果を集大成して、広く公開・公表する段階となった。 今年度は、研究成果をまとめた洋書と和書の執筆に専念し、それらを完成させ、2016年度に遅滞なく出版される運びとなった。国内外から寄せられてきた熱い期待に応えることができるものと考える。洋書では、音声知覚、発音と発話、視覚と空間認知、点字と触読、認知発達と言語習得、音声チャンクと聴解発話指導、特別支援学校(視覚障害)における英語指導の現状と課題について、学術的根拠を示しながら体系的に論じた。洋書で展開した学問的研究を基にして、和書では、音の知覚、音声の表出、聴覚・視覚・触覚信号の融合、英語音素の記述と学習上の諸課題、音声チャンクと外国語学習について、一般的に分かりやすい形で執筆した。その場限りで消えてしまう講演や発表、一部の限られた会員にしか届かない論文等ではなく、長きにわたって存在する書籍として刊行できることは、望外の幸せである。 こうした研究成果は、国立特別支援教育総合研究所、英国王立盲人協会やニュージーランド盲人協会などと共有し、積極的な情報公開と知見の普及に努めている。研究期間は完了したが、今年度も引き続きこうした活動を、国内はもとより世界に向けて展開していきたい。視覚障害者はもちろんのこと、聞き取り、聴解、発音、発話を学ぶ全ての外国語学習者にとって、有益で有意義な成果であることを切に願っている。
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