研究実績の概要 |
発達障害児は、幼稚園や学校場面で「落ち着きの無さ」「姿勢の悪さ」が問題になる。原因として感覚認知面の未発達や身体図式の悪さによる姿勢保持やバランス反応の苦手さあると考えられる。本研究では教育場面での姿勢運動機能の発達を促す手段とすること目的に、体幹の左右対称性バランスが要求され、教育場面で多く使用される体育座りでの座位バランス動作を利用し、定型発達児と発達障害児の姿勢の変化について調査した。体育座りは4歳でほぼ可能だが、長時間の姿勢保持については年齢による差があると考えられた。そのため、①体育座りのまま足部を床から離して臀部でバランスを取り保持する動作、②前述の姿勢で上肢を両脇に開くバランス動作を用いた。動作の発達段階を明らかにするため、対象児は幼稚園に在籍する4歳児から小学校3年に在籍する9歳児までとし、発達障害の診断を受けている児の調査も実施した。人数は園児4、5、6歳の順に26名、21名、26名、小学生1、2、3年の順に32名、31名、32名、診断群は4歳から9歳17名である。 ①②ともに10 秒間の姿勢の変化を記録し、足部が接地した時点の時間を計測した。足部は設置しないが後方に倒れ骨盤や背部での支持になった児については骨盤上部が接地するまで、膝関節が伸展した児はその時点での計測とした。 結果は、①②とも年齢により保持時間に差が見られた。①ではおよその保持時間が4歳児4,3 秒、5歳児7,3秒、6歳児7,9秒、1年生8,9秒、2年生9,2秒、3年生9,5秒であった。診断群は4歳2秒、5歳4秒、6歳8秒、小学生1~3年までの平均が約7,5秒であった。投薬の影響は考慮していない。②では幼児に姿勢の崩れが目立ち、小学生は左右対称であった。姿勢保持の傾向として、幼児、診断群では四肢が緊張し、小学生は体幹で支え、四肢は脱力し、姿勢保持の為の筋活動やバランスの発達が示唆された。
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