研究課題/領域番号 |
25590291
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
筒井 睦 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (30589180)
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研究分担者 |
山本 智子 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (00586092)
古賀 由紀子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (30412779)
北田 勝浩 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (90195264)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔ケア関連用語の曖昧さ / グレリン濃度分泌リズムの一定化 / 衝前後の歯磨き、体操 |
研究概要 |
現在、特別支援教育現場における摂食指導では、『食べる』ことに着目し、個々に応じた食餌形態や食べる機能に重点が置かれている。摂食前後の口腔ケア、障害児の健康支援という点からの口腔管理および保健の指導が十分に行われていないのが現状である。また、先行研究により、未学習や誤学習による現状の口腔ケアに対する改善の必要性が示唆されていることから、個々での対応でなく特別支援教育現場での対応、早期からの口腔ケアの開始など、超早期療育の一環として齲蝕予防や口腔保健管理のための口腔ケアプログラムと指導方法の構築が必要であると考える。 そこで、平成25年度は、一次調査として特別支援教育現場および障害者施設等の口腔ケアに対する現状を把握するために、熊本、長崎、奈良、大阪、三重県内の特別支援学校58校と熊本県内の障害者施設1施設の障害児・者担当者を対象に、口腔ケア実態調査を実施した結果、①口腔ケア関連用語の理解の曖昧さ②口腔ケアとしてイメージされるものが歯磨きに集中していた(肢体不自由関係で摂食との関連があげられているものの特記すべき指導がみあたらない)③摂食や口腔ケアの介助の困難さが口腔機能のみの視点で理解されているという点が明らかになった。 一方、今回構築する口腔ケアプログラムの評価方法として成長ホルモンの一種である血液中のグレリン濃度分泌リズムを用いるために、血液採取の協力が得られた障害者施設に入居している12名のグレリン濃度を測定した結果、1/3は分泌リズムが一定化していなかった。 以上から、用語の定義や統一の必要性と全身運動やストレッチなど口腔に特化したものではなく食事前の全身状況の改善(結果的に口腔に関わる部分も改善する)の体操や歯磨きなどを組み込んだ口腔ケアプログラムの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では、一次調査として、障害児・者教育現場等の口腔ケアに対する現状の実態を把握するために熊本県、長崎県、三重県、奈良県および大阪府の特別支援学校や障害者施設に対し口腔ケアに関する質問紙調査を行い、その結果を分析し口腔ケアプログラムを構築する予定であった。一方、血液中のグレリン濃度分泌リズムを構築した口腔ケアプログラムの評価の指標とするために、実態調査と同時に血液採取に同意の得られた人を対象に分泌リズムの調査をする予定であった。 現在、口腔ケアプログラム開発のための現状把握として、熊本県、長崎県、三重県、奈良県、大阪府の特別支援教育現場および熊本県の障害者施設にて口腔ケアに関する調査(回答者の基本属性、特別支援学校および障害者施設勤務歴、口腔ケアの考え方、現在実施している口腔ケア内容、磨きにくい部位等)を実施した。さらに、血液採取に同意の得られた障害者施設の12名を対象に血液中のグレリン濃度分泌リズムを調査した結果、1/3の対象者が分泌リズムが一定化していないことを明らかにした。これらの結果から、口腔ケアに関する用語の定義や統一の必要性と全身運動やストレッチなど口腔に特化したものではなく、食事前の全身状況の改善(結果的に口腔に関わる部分も改善する)の体操や歯磨きなどを組み込んだ口腔ケアプログラムの必要性が示唆された。 これらのことから、一次調査後の口腔ケアプログラムの構築に若干の遅れを認めるものの、現段階としてはおおむね計画通り研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、一次調査結果を分析し、口腔ケアプログラムを構築中である。一次調査の結果から、口腔ケアに関する用語の定義や統一の必要性と全身運動やストレッチなど口腔に特化したものではなく、食事前の全身状況の改善(結果的に口腔に関わる部分も改善する)の体操や歯磨きなどを組み込んだ口腔ケアプログラムの必要性が示唆されたことを踏まえ、さらに、血液採取を実施した障害者の口腔内状況や障害者施設の生活環境等と血液中のグレリン濃度分泌リズムの関連性について検討を加えたうえで、食事前後に歯磨きを行う習慣作り(環境作り)と歯磨き方法および全身状況の改善の体操を組み込んだ口腔ケアプログラムを構築する。 次に、構築した口腔ケアプログラムを一次調査で血液中のグレリン濃度測定に協力が得られた12名の所属する障害者施設を対象に施設の指導者および介助員等に指導し、3か月間継続実施してもらう。3か月後、二次調査として再度、口腔内状態の調査およびグレリン濃度測定を行い、プログラム開始前のグレリン濃度分泌リズムと比較し、プログラムと分泌リズムの関連性について検討を行う。加えて、口腔内状態の変化をアセスメントする。これらの結果から、構築したプログラムの評価や指導方法の検証を行う。 そして、構築した口腔ケアプログラムの成果を根拠に、実態調査を実施した特別支援学校および障害者施設に調査報告を行い、指導方法の一つとして位置づくよう推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に、再度グレリン濃度分泌リズムの調査を行い構築したプログラムの検証を行う予定である。また、その成果を学会発表(台湾障害者歯科学会および日本障害者歯科学会)する予定である。さらにその成果を根拠に一次調査の対象特別支援学校および障害者施設に調査報告を行い、指導方法に1つのち手位置づくよう推進していく予定である。 以上のことから、調査費および旅費、宿泊費、郵送費等が必要となるため、次年度使用額が発生する。 平成26年度に構築したプログラムの評価の指標とするグレリン濃度分泌リズムを再度測定するための測定費および対象者に対する謝礼(1名3回分:朝食後、昼食前、昼食後×12名分)、一次調査対象特別支援学校および障害者施設59施設に郵送にて成果報告、平成25年度の成果を平成26年度台湾障害者歯科学会および平成26年第31回日本障害者歯科学会(仙台)にてポスター発表を予定している(台湾旅費および宿泊費4名分、仙台旅費宿泊費1名分)。
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