研究課題/領域番号 |
25600001
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長尾 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50374963)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 中空粒子 / 外場 |
研究概要 |
シリカシェルが形成する微小空間に、サブミクロンサイズのシリカコア粒子を埋め込んだ中空粒子を合成した。この中空粒子は、コア粒子/ポリマーシェル/シリカシェルからなる多層コア-シェル複合粒子のポリマーシェル部分を選択的に除去することによって得られる。コア粒子の可動性を確保するには、ポリマーシェル除去のための熱処理過程で生じるシリカコア-シリカシェル間の焼結を解消する必要がある。シリカコアをシリカシェル内壁から引き剥がすための処理として従来は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を使ってシリカ成分を化学的にエッチングしていた。しかしながら、エッチング溶液に含まれるアルカリ金属が残留しデバイス作製時に不純物となる可能性も考えられる。そこで、アルカリ金属に代わるエッチング溶液としてアンモニア水溶液によるエッチングを検討した。その結果、エッチング溶液のpHを10前後に調整することで、シリカコア-シリカシェル間の焼結を解消でき、可動性を確保できることを明らかにした。 非晶質かつ低密度の酸化物粒子を球状コアとして使い、可動コア内包型の中空粒子を合成すると、内包した球状コアの一部がポリマーシェル除去のための熱処理過程で非球形化した。この結果はシリカシェルが形成する微小空間内で熱処理された球状粒子が、 周囲のシリカシェルの影響を受けながら高密度化かつ変形することを示唆しており、非球形化の機構を明らかにすれば、新しい異型粒子合成の開発にもつながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は異型酸化物粒子をコアとし、それを球形化できるポリマー被覆法を検討することで、異型コア内包型の中空粒子を合成することを狙っていた。しかしながら、研究実績の概要に記したようにポリマー除去過程で球状コアが非球形化する現象が観察されており、異型酸化物粒子をコア粒子に使わずとも、異型粒子を埋め込んだ中空シリカ粒子を合成できる可能性を示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
多層コア-シェル粒子の中間層となるポリマー相を選択的に除去する中空化プロセスを引き続き検討するとともに、中空粒子の集積化プロセスについても合わせて検討する。埋包した異型粒子の可動性が確認できた粒子配列体に関しては、透過スペクトル等の光学的評価を行う。このような透過率評価を、外場を印加した場合と印加しない場合の両者について行い、外場印加が内包粒子の配向状態に及ぼす影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効果的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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