研究課題/領域番号 |
25600003
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田川 美穂 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40512330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNA self-assembly / Nanoparticle / 分子準結晶 / 階層構造 / 超構造 / 5回対称 |
研究概要 |
本研究は、ナノ粒子をDNA分子でコード化することによりその空間配置を精密に制御し、メゾスコピック領域あるいはコロイド次元の準結晶を実現することを目的とする。DNAのプログラマビリティ及び特異的分子認識能力を利用すると、ナノ粒子の空間配置を精密に制御できるだけでなく、その超構造設計の自由度が飛躍的に高くなるため、他の方法では実現できないような構造形成が可能となる。 申請時の研究計画では、三次元の準結晶作成を試みると記載した。しかし下記の事情により、二次元の準結晶作成から試みる方が着実であることが判明したため、研究計画を変更した。 (理由1)三次元結晶では、個々の粒子の配置や結合を直接見ることができないため、トライアンドエラーで大量の実験が必要であり、予想以上に時間ががかかることがわかってきた。 (理由2)我々は25年度に基板担持脂質二重膜(SLB)上におけるDNA-NPの二次元結晶化の手法確立に成功し、二次元の結晶構造制御ができるところまできた。DNA-NPや二次元DNAナノ構造体を用いて二次元のペンローズタイルの組み上げを実現すべく、その基盤技術となる粒子間距離制御、配置制御を25年度は進めた。二次元結晶化は、原子間力顕微鏡で直接観察できることから、設計通りの結晶が大規模にできていなくとも、粒子間の結合に何が起こっているか、ある程度見て予測することができる。このように、二次元で起こる粒子やDNA構造体の結合状態を確認しながら進める方が、ペンローズタイルの組み上げを着実に行うことができそうであるとわかってきた。二次元における準結晶形成のメカニズムを解明することで、三次元準結晶作成にも繋がると考えている。 以上より、25年度は二次元準結晶作成のための基盤技術を着実に進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画していた三次元準結晶よりも二次元準結晶作成を優先して進めたが、二次元から手を付けて行った方が着実であることがわかったため、順調に進展していると言える。また、粒子間の距離や配置の制御方法を確立しつつあり、二次元ペンローズタイルの組み上げのための基盤技術を大きく進展させることができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記載した理由により、26年度も二次元準結晶作成を優先して進める方針である。2014年2月に発表された論文'Mosaic two-lengthscale quasicrystals'[Dotera et. al, Nature2014, 506, 208-11]は、我々の手法(粒子間距離や配置を自由に設計しやすいDNAを用いたナノ粒子の結晶化の手法)が分子準結晶実現に非常に有力な手法であると勇気付けてくれる論文である。この論文の理論を参考に、26年度は三つのナノ粒子からなる二等辺三角形をユニットとする、二次元ペンローズタイルの組み上げを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は大学から配分される女性支援経費を本研究推進のために優先的に充てたため、残額が生じた。 25年度に大学から配分された女性支援経費は25年度で終了のため、26年度からは本研究を進めるに当たり、本研究予算のみで工面しなければならない。26年度も基板担持脂質二重膜上におけるDNA被覆ナノ粒子の二次元結晶化を申請時の計画以上に進める予定である。よって、脂質、原子間力顕微鏡用プローブ等の購入額が膨らむ予定であるため、25年度繰り越し分をこれらに充てる。
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