研究課題
本研究は、窒化物、とくにチタン窒化物のナノ構造を電子線リソグラフィーを利用した微細加工技術によって作製し、新しい可視光域のプラズモニックデバイスの創製である。これまで可視光域のプラズモンに関する研究は金や銀といった貴金属で行われてきたが負の誘電率によるロスなどの問題点が生じていた。そこで可視光域にプラズモンを有すると考えられるTiNナノ構造の作製方法の確立と、TiN結晶構造やナノ構造と局在表面プラズモン特性の相関、TiNナノ構造によるプラズモン電場増強効果などの光機能を明らかにし、新しい可視光域のプラズモニックデバイス創製を目指す。H26年度の実施計画として、H25年度から継続してイオンビーム(Arイオン)を照射することでターゲット材料をスパッタリングし、基板表面に薄膜を作製するイオンビームスパッタ装置を用いてTiN薄膜作製を継続して行った。また、電子線描画装置を用いてナノ構造をパターニングしたところにTiNを成膜し、リフトオフすることによってTiNナノ構造が作製できることを確認した。この微細TiN構造を用いて、ローダミンなどの色素溶液のラマン散乱光測定を行った。TiNが存在する環境でローダミン由来のラマン散乱スペクトルの観測に成功した。サイズに依存したラマン散乱光の増強までを確認できるには至らなかったが、TiNが金などと同様にプラズモンに起因するような電場増強を期待できることを示した。
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POLYMER JOURNAL
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