平成26年度は、平成25年度の研究成果である耐水圧性を有するポリカーボネートで作製された自己組織化多孔質薄膜をプラストロン模倣材料として利用し、水中での高効率酸素補給機能を有するプラストロン模倣デバイスの作製を行うことを目的としていた。しかしながらプラストロン模倣デバイスの酸素補給能力の測定結果に再現性が得られず、回路などを作製して原因を調査したところ、プラストロン模倣デバイス内部の酸素を消費するために使用していた空気亜鉛電池が高湿度下では働かないことが明らかになり、実験系の再構築が必要となってしまった。その後、窒素バブリングにより水中の酸素を除去し、プラストロン模倣材料で覆われた実験系の内部酸素濃度を測定したところ、プラストロン模倣デバイス内部の酸素濃度も減少することが明らかとなった。また、自己組織化多孔質薄膜で覆った貫通孔の面積に比例して酸素減少速度が変化していたことから、自己組織化多孔質薄膜を介して酸素が移動することが明らかとなり、我々の作製したプラストロン模倣デバイスは水中での酸素補給デバイスとして利用可能であることが示唆された。これらの研究成果は国際会議を含む3件の学会で発表され、またプロシーディングとして発表済みである。また現在、実際に酸素を消費して二酸化炭素を放出する脱酸素材を入手することができたため、より昆虫のプラストロン呼吸に類似した状況を構築、酸素補給速度などを計算してデバイスを最適化し、その酸素補給能力の向上を図る。以上の様に引き続き成果が得られる状況であるため、今後も研究を続け、その成果を積極的に発表する予定である。
|