1分子ケミカルイメージングの実現のために、 1-1)プローブ先端へのナノ構造形成について、FDTD計算により、銀ナノ粒子1個の固定では、現実的に利用しにくい400 nm付近に巨大な電場増強が得られるが、長波長側では急激な電場の減衰が見られた。それに対して、チップ全体を覆う銀薄膜形成により、400-800 nmの幅広い波長範囲で、単一分子感度ラマン検出を与える共鳴が得られた。実験的にこの点の実証を進めた。1-2)ギャップモードに関して、任意の金属基板上で、十分な大きさの金ナノ粒子または銀ナノ粒子を用いることで、一分子感度が実現できることを理論計算に より予測し、実験的に確かめた。また、シリコンなどの高屈折率非金属基板表面でも同等のラマン増強が得られることを見いだした。 2)顕微鏡集光系の高効率化、AFMスキャナと試料が独立可動なX-Yステージを試作し、実用性を確かめた。全反射配置でギャップモードを励起する光学系を用いて、金属薄膜上の金属ナノ粒子の被覆率の低下と共に、より大きなラマン信号の増強が得られることを見いだ した。これは、伝搬性表面プラズモンとギャップモードの複合によるもので、ナノラマンイメージング配置で最大の感度が得られることを意味している。これらの成果をもとに、ケミカルイメージング法を直実に進めた。
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