研究課題/領域番号 |
25600027
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
國武 雅司 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (40205109)
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研究分担者 |
板谷 謹悟 東北大学, 多元物質科学研究所, その他 (40125498)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 高分子構造・物性 / 高分子合成 / 走査型ブローブ顕微鏡 / 自己組織化 |
研究概要 |
水と油のような液液界面を跨いだ界面クリック反応によって、高分子間架橋したナノフィルムの作成できる。水相と有機溶媒相に、それぞれ全く異なる高分子を配置し、架橋することによって、裏と表が異なるヤヌス型(裏と表が異なる)ナノポリマーフィルムを作成することができることを申請者は見出している。本申請研究では、組み合わせるポリマーのひとつを刺激応答性ポリマーに変えることで、刺激応答型ヤヌスフィルムを合成することを目的とし、これに成功した。感温性高分子として、イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を選択し、クリック反応可能なアジド基もしくはアルキン基を有するモノマーユニットとの共重合体を合成した。これに対し、クリック反応で対となる反応基を持つポリスチレンコポリマーも合わせて合成した。LCST温度以下で、NIPAMコポリマーは水相に溶かし、有機溶媒相に、ポリスチレンコポリマーを溶かし、液液界面を形成させ、ここに触媒となる銅イオンを加える事で、架橋反応をスタートさせ、感温性ヤヌス型ナノフィルムを作成した。このナノフィルムは、LCST温度の上下に温度を変化させると、温度に応じて、曲げ伸びが可逆的に変化させることが可能であり、アクチュエーターとしての高いポテンシャルが示唆された。また温度に応じて、接触角が変化していることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究によって、改めて界面クリック反応とそれによって生み出されるヤヌス型ナノフィルムの有効性が明らかとなった。特に、刺激応答性のポリマーを片面に組み込むことで、アクチュエーターとなることを世界に先駆けて証明した。本来の計画において、達成できなかった点は、原子移動重合法ATRPを用いて、分岐型、ブロック型のポリマーを合成し、これをヤヌス型ナノフィルに組み込むことである。使用したいモノマーに適した原子移動アジカル重合法の触媒リガンドの探査が間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
界面クリックによって生み出されるナノフィルムは、組み合わせるポリマーのモノマー構造の選択、架橋基の組成比による導入密度の制御。また架橋反応を行う液液構造(巨視的な二層構造から、巨視的には混ざり合ったエマルション構造まで様々なな次元での構造制御が可能である。こうした場と組み合わせるポリマーの選択により、多種多様なアクチュエーターを生み出すことができると考えられる。目的に応じた最適化が今後の課題である。
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