熱電材料のナノワイヤ化は量子効果にともなう性能向上が予測されており、その効果を実験的に明らかにすることは重要な課題である。本研究ではBi2Te3ナノワイヤをポーラスアルミナテンプレート中に電着させたナノワイヤアレイの出力に焦点をあて研究を行っている。本年度は、ナノワイヤを集積したナノワイヤアレイの出力特性評価を含む熱電特性評価の研究のなかで以下の成果を得た。Bi2Te3ナノワイヤアレイの厚さ方向の熱電特性を297 K~368 Kの範囲で測定した。直径200 nmのナノワイヤが電着されたナノワイヤアレイ(200-nanowire-array)は温度とともに電気伝導度が増加、熱活性的にキャリヤが増加する真性半導体のような挙動を示した。直径40 nmのナノワイヤが電着されたナノワイヤアレイ(40-nanowire-array)は温度とともに直線的にキャリヤ移動度が増加する不純物半導体のような挙動を示した。ナノワイヤアレイのゼーベック係数297~368 Kにおいては-50~-100μVK-1であった。有効最大出力は40-nanowire-arrayよりも200-nanowire-arrayの方が高く344μWcm-1を得た。
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