研究課題/領域番号 |
25600043
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
黄 晋二 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (50323663)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | グラフェン / バイオセンサー / イオン液体 |
研究概要 |
平成25年度は、グラフェンの酸化還元について検討を行った。これは、グラフェンを用いたバイオセンサーにおいて重要となる、グラフェンの化学修飾の際に、酸化部位が反応基点として有効であるためである。機械的剥離法を用いて形成したグラフェンをUVオゾン装置を用いて穏やかに酸化させ、その特性についてラマン分光法による評価と電界効果トランジスタの伝達特性の測定を行った。その結果、酸化によってグラフェン表面にエポキシ基等の化学基が形成され、その結果π電子が結合に関与するために伝導キャリア密度が減少し、かつ、キャリア移動度も低下することが分かった。移動度減少の原因は、酸化部位がキャリア散乱を引き起こすためであると考えている。また、酸化グラフェンをH2/Ar雰囲気にて熱的還元処理を行うことで、グラフェンが初期状態に戻ることも分かった。酸化還元の熱的可逆性を電気伝導特性を通して示した成果について、Applied Physics Lettersに論文を投稿し採択されている。また、酸化グラフェンがUV光のみでも還元されることを見出したことから、非熱的還元性についての検討を進めており、その成果について応用物理学会で発表を行った。 これらと併せ、新所属に移動したことを受けて、実験環境の整備を新たに行い、グラフェンのCVD成長、転写、イオン液体トップゲート型電界効果トランジスタの作製と評価等のバイオセンサーに関する研究に必要な基盤技術形成を完了した。平成26年度より、イオン液体を用いたグラフェンバイオセンサーの作製と評価に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度4月に青山学院大学理工学部電気電子工学科へ移ったため、新所属においての実験環境を新たに整備する必要があった。グラフェンの結晶成長を行うCVD装置の立ち上げ、CVDグラフェンの転写技術、フォトリソグラフィーを用いたグラフェン電界効果トランジスタの作製と評価、等についての技術を確立するために時間を要したが、これらの基盤形成によって研究環境は整備され、今後、本格的にバイオセンサーの研究開発に取り組める状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に新所属での実験環境の整備が完了した。現時点でイオン液体トップゲート型電界効果トランジスタの作製と評価を行うことができる段階まで整備が完了したため、平成26年度は、研究の目標であるイオン液体を用いたバイオセンサーの作製と評価へと研究を進める。具体的な研究項目として、(1)グラフェンを電極とするPhセンサーの作製と電気化学的評価法の確立を行い、水溶液/グラフェン界面での物理的、化学的現象について詳細に調べること(2)イオン液体トップゲート型トランジスタの特性評価を通して適切なイオン液体種の選定を行う(3)転写したCVDグラフェンを電極とするバイオセンサーの作製技術確立(4)イオン液体へのタンパク質の溶解実験、を予定している。
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