研究課題/領域番号 |
25600046
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
柳 和宏 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30415757)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単層カーボンナノチューブ / 伸縮性デバイス / 半導体型 / トランジスタ / 電気化学 / 電気二重層 / イオンゲル・液体 |
研究概要 |
本研究では、伸縮性を有する基板上に高密度な半導体型単層カーボンナノチューブ(s-SWCNT)膜を用いたイオンゲル電気化学トランジスタ(ECT)を作製し世界に先駆けてs-SWCNT厚膜を用いた伸縮性高性能エレクトロニクスの基盤を構築することを目標に研究を行っている。特に、 課題1: PDMS基板へのs-SWCNT厚膜転写技術の確立、 課題2: 電極およびイオンゲル膜の伸縮性テスト、 課題3: PDMS基板上での素子作製および伸縮性を含めた特性測定、 の三つの課題を達成することを目標としている。これまで、早稲田大学 竹延大志 教授との共同研究により以下の手法を用いることにより、19%の伸縮性を備える電界効果型トランジスタを作製することに成功した。はじめにソース・ドレイン電極を形成したPDMS基板を延伸させ、延伸させた状況下において、密度勾配遠心分離精製によって得たs-SWCNT厚膜を転写を行った。ここで良好な伸縮性能を得る為、転写条件の最適化、および厚膜の膜厚の最適化を行った。その結果、巧妙にWavyな薄膜構造となったs-SWCNTチャネルを形成することに成功した。即ち、課題1について十分目標を達成した。同チャネル上にイオンゲルおよびゲート電極を形成することでECTデバイスの作製を行い、伸縮性テストを行った。ここでは、伸縮させた状況における伝達特性およびキャパシタンス特性を測定することにより、ON/OFF電流、および移動度の評価を行った。ON/OFF電流、および移動度の両者において、19%まで延伸させた状況においても、ほぼ一定値を示していた。しかしながら、20%以上に延伸させたところ、移動度において明確な減少傾向が見られた。以上の結果により、19%の伸縮性能を備えるデバイス作製に成功した。よって、課題2、課題3ともに十分目標を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における達成目標として、 課題1: PDMS基板へのs-SWCNT厚膜転写技術の確立、 課題2: 電極およびイオンゲル膜の伸縮性テスト、 課題3: PDMS基板上での素子作製および伸縮性を含めた特性測定 を掲げている。 前述のように、PDMS基板へのs-SWCNT厚膜を転写する技術を確立しており、よって十分に課題1を達成した。また、実際にs-SWCNT厚膜をチャネルとして用いたPDMSデバイスにおいて伸縮性テスト・特性評価を行うことを達成しており、課題2・課題3についても十分に達成している。よって、順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
以上の成果に基づいて、今後もまた連携研究者である早稲田大学 竹延大志先生との共同研究を通して、更なる伸縮性の改善を目標に研究を行う。また、インクジェット法を用いた完全塗布型伸縮性トランジスタの開発に向けた基礎研究を行う。
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