研究課題
本研究は、伸縮性を有する基板上に高純度な半導体型単層カーボンナノチューブ(S-SWCNT)膜を形成し、イオンゲル電気化学トランジスタ構造を用いて、伸縮性高性能エレクトロニクスを実現することを目標に研究を行っている。研究当初において、解決すべき課題として、課題1:PDMS基盤へのs-SWCNT厚膜転写技術の確立課題2:電極およびイオンゲル膜の伸縮性テスト課題3:PDMS基板上での素子形成および伸縮性を含めた特性評価を掲げていた。早稲田大学 竹延大志教授との共同研究により、これら課題を解決し、結果として、”転写条件の最適化、SWCNT膜厚の最適化、Wavy構造のチャネル形成により、19%の伸縮性の範囲においてON/OFF電流比および移動度において性能劣化のないデバイスが可能である”という結果を得ることに成功し、伸縮性デバイスの作製が十分に可能である知見を得た。また、この成果に基づいて、本年度は、電極部分において伸縮性を備える金属型単層カーボンナノチューブを用いたall-carbon nanotube デバイスの作製を試みた。ポリイミドフィルム上(厚み50μm)に、金属型単層カーボンナノチューブによる電極構造、チャネルには半導体型単層カーボンナノチューブ、絶縁部分にはイオンゲルの構造をインクジェット方式により形成し、イオンゲル電気化学トランジスタ構造を作製した。その結果、ON/OFF電流比として10^3以上、移動度として10 cm^2/Vs以上のトランジスタの作製に成功した。また、世界で最も曲率半径が小さい曲率半径100マイクロメートルにおいても動作可能であることを検証し、世界最高性能の折り曲げ性能を備えるデバイス作製に成功している。以上の成果について、結果を取り纏め、現在、論文を学術誌に投稿中である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
Phys. Rev. B
巻: 90 ページ: 235435
10.1103/PhysRevB.90.235435
Phys. Stat. Sol. B
巻: 251 ページ: 2432-2436
10.1002/pssb.201451182
Nano Lett.
巻: 14 ページ: 6437-6442
10.1021/nl502982f
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 83 ページ: 113706
10.7566/JPSJ.83.113706
Appl. Phys. Lett.
巻: 105 ページ: 093102
10.1063/1.4895103
Carbon
巻: 74 ページ: 282-290
10.1016/j.carbon.2014.03.033
Advanced Functional Materials
巻: 24 ページ: 3305-3311
10.1002/adfm.201303566
巻: 75 ページ: 299-306
10.1016/j.carbon.2014.04.006
Appl. Phys. Express
巻: 7 ページ: 025103
10.7567/APEX.7.025103
ACS Nano
巻: 8 ページ: 1375-1383
10.1021/nn405114z