研究課題
DNAシーケンスによって、感染症の病原菌となる微生物、ウィルスを現場にて特定することは世界中で切望される診断技術です。これまで、DNAシーケンスは十分なサンプルの前処理と研究所に設置された大型の装置を利用して行われてきました。したがって、現場でのDNAシーケンスを達成するには現行の原理技術とは異なった、新規原理からの研究開発が必要です。我々は現場でのDNAシーケンスを達成できる新規技術として、表面増強ラマン散乱による単一分子の測定技術を応用したDNAシーケンサを本研究にて提案しました。本研究課題では、(1)DNAの伸張について、厚さ方向(Z軸方向)への拡散を数nmに制限された空間にDNAを電気泳動させることと、酢酸を混合した緩衝液を使用することで、可能であることが分かりました。一方では、厚さ方向への拡散を数nmに制限する空間にDNAを直接に導入することが困難でした。さらに(2)露出したDNA塩基について単一分子での表面増強ラマン散乱を測定するために単一分子感度を達成できるプラズモン電場を発生することのできるナノ剣山を製作しました。ナノ剣山は針自身の先が100nmの平面で、平面の下部がさらに細くエッチングされた絶壁構造で、銀蒸着することで、表面プラズモンを強く発生できると同時に絶壁構造にDNA分子が絡み合うことができるデザインにしました。作製したナノ剣山を利用して、DNAのひとつの塩基であるアデニンの分子を測定し、ナノ剣山の絶壁における単一分子の特徴であるブリンキングを計測しました。この結果は、表面増強ラマン散乱をDNAシーケンサの原理技術として利用できる可能性を示したことになります。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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