幹細胞の分化誘導には,胚様体と呼ばれる細胞の凝集体を形成させる必要がある.我々は,膜マイクロマシニング技術を用いた胚様体自動培養システム(PASCL)を開発した.PASCLは手の平サイズのチップ内に,透明かつ柔軟な薄膜製の,0.5mm四方のマイクロウェルが高密度に配置されている.各ウェルは圧力により,平坦な状態から,深さ500μmの丸底ウェルまで形状を変化させられる.これにより各ウェル内に形成された胚様体を,個別に回収することができる.胚様体形成,分化誘導,観察,回収まで一連の操作が,人手を介さず,チップ内で完結する.ヒトiPS細胞の胚様体形成と,複数条件下での分化誘導,選択的回収に成功した.
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