研究課題/領域番号 |
25600058
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西迫 貴志 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (10431983)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脂質二分子膜 / ドラッグスクリーニング |
研究概要 |
平成25年度は以下の研究を行った. (1)薬物透過試験用マイクロデバイスの製作:脂質二分子平面膜アレイの作製および薬物透過試験を行うためのマイクロ流路を製作した.既存のガラス(合成石英)チップに加え,より安価に作製可能な樹脂製チップとして,PDMS製およびアクリル製チップの利用を検討した.微細構造の作製には転写型としてフォトレジストSU-8を用いたソフトリソグラフィおよびレーザ加工を用いた. Ag/AgCl 電極の微細パターンをガラス基板上に設け,微細溝を転写した樹脂シート片と貼り合わせ,流路デバイスを構成した. (2) 脂質二分子平面膜アレイの作製:上記のマイクロ流路デバイスを用い,脂質二分子膜アレイの形成試験を行った.数ナノ~数十ナノリットルサイズの水滴を互いに接触させた後に,交流電圧を膜を隔てて印加し,膜の電気応答の測定を行った.測定波形から単位膜面積あたりの静電容量の値を算出し,文献値と比較することで二分子膜が形成されていることの確認を行った.また,チャネル形成物質(a-hemolysin)を脂質膜に埋め込み,蛍光分子カルセインの移動を蛍光観察により確認した. (3) UV 吸収スペクトルの測定による薬物透過性測定試験 マイクロ流路内に作製した脂質二分子膜アレイを用い,薬物透過製測定試験を行った.既に測定実績のあるCaffeine のほか,Naproxen, Metoprolol等のイオン性の薬剤分子の測定を行った.測定データを用いた数値計算により,各薬剤の膜透過係数の算出を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバイス作製,作製したデバイスを用いた脂質膜形成試験,および薬剤分子透過性試験まで,当初の計画通りに順調に進んだと考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度,27年度の研究も当初の計画どおりに進める予定.
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬(リン脂質,膜タンパク質,薬剤分子等)の購入に当てる予定だったものが,使用量および個数が当初想定したまでに至らず,他の経費での購入分や研究室の備蓄分で補えたため,未使用額を次年度以降に繰越とした. 上記試薬は次年度以降の研究においても引き続き使用するものであるので,当初の使用目的は変更せずに次年度に使用する計画とする.
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