研究課題/領域番号 |
25600062
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
成田 貴行 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30423560)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酵素反応 / 走化性 / 微粒子 |
研究概要 |
H25年度はバイオポリマーゲルをマトリックスとする酵素固定JANUS微粒子の調製法の確立を目的として、アルギン酸カルシウムゲルとゼラチンゲルを微粒子のマトリックスとする酵素固定化JANUS粒子の調製を試みた。酵素にはグルコース酸化酵素であるグルコースオキシターゼと過酸化水素を分解するカタラーゼを用いJANUS粒子の調製と活性を評価した。溶媒の比重の違いを利用することで、二つのエマルションを界面で接触させる界面衝突法と、ナイロンメッシュをテフロン基盤上におき、アルギン酸エマルションとゼラチンエマルションを接触させるメッシュ固定化法の二つの方法をJANUS粒子化の方法として、粒子を調製した。JANUS形状の粒子を評価するため、明視野での顕微観察と蛍光での顕微観察を行った。また、酵素の活性を確認するため、二つの方法で調製した粒子をそれぞれに反応させ、0.1Mグルコース溶液中でのグルコン酸の生成に伴うpHの低下と、過酸化水素水中での酸素の生成の確認を行った。メッシュ固定化法を用いて調製した粒子の明視野観察および、蛍光観察をしたところ。一つの粒子内に明暗が異なる二領域が観察され、片側の領域のみ蛍光を有することを確認した。蛍光側部分はゼラチンと接触したことでゲル化したFITC標識アルギン酸ゲルであり、結果よりJANUS粒子化に至っていることを確認できた。二つの両方法でJANUS形状の粒子を観察できたが、メッシュ固定法で得た粒子に二領域に局在化した形状のJANUS粒子を多く観察できた。調製した粒子を0.1Mグルコース溶液に入れたところ、pH4迄低下し、また、過酸化水素水中に入れたところ酸素の発生を確認した。この酵素活性の結果より、異なるバイオポリマーゲルを二領域に持つJANUS粒子が酵素活性を保った状態で調製できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵素を用いて走化性を示す手段を確立するためには、酵素の失活を伴わない酵素固定化することと、2部分に異なる酵素を搭載したJANUS粒子を調製する必要があるが、今回施行した方法で、この条件をクリアできる粒子を調製できることが分かった。どちらかというとH26 年の実施計画に入り込んだ形になった。一方で、酵素の選定については酵素の種類や活用方法に関して慣れていなかった点、予定より時間をかけて行っている。
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今後の研究の推進方策 |
去年度に行う予定であった酵素系の選択及びを重点的に行う。 1.粒子周りの表面張カ偏りを反応によって形成する系の模索:溶液と微粒子表面との界面張力は酵素反応前では異なる。2つの酵素反応前後のこの界面張カ差を表面張力を数値化することで適切な酵素を選択する。 2.粒子周りの温度偏りを酵素反応によって形成する系の模索:酵素の反応熱はBRENDA等の豊富なデーターベースから得ることが可能である。実際に発熱や吸熱が生じ温度差が形成されるかを検証する為に遠赤外線サーモカメラを用いて混度差を得る。実際に得られる温度差と駆動能力、微粒子のサイズの関係、からどの程度Sore効果が働くかを議論する。 3.粒子周りの電荷密度偏りを酵素反応によって形成する系の模索;ゼータポテンシヤルが大きいほど電場の影響を受ける。酵素を固定化した微粒子のゼータポテンシヤル変化を酵素反応前後で確認し、変化量の高い系を選択する。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要としていたガラス器具の購入量が予想していた量に比べて少なくすんだため、差異が生じた。 走化性を確認するための自作の測定装置を構築する際、光学部品が必要となる。昨年度の繰越金額を今年度このために使用を予定している。
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