研究課題/領域番号 |
25600066
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松田 健一 日本大学, 理工学部, 准教授 (80360931)
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研究分担者 |
須田 善行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70301942)
畠中 憲之 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70363009)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / ナノ構造 / ナノデバイス |
研究概要 |
本年度は,カーボンナノコイルのマニピュレーション技術の確立と測定装置の構築を大きな目標とした.また理論的な側面から,カーボンナノコイルの変形に対する電気伝導度の変化を記述するモデル構築と実際の計算にとりかかることも目標とした. 実験的には,研究分担者の実験によって効率的にカーボンナノコイルを生成する方法が確立され,また,それをマニピュレータによって補足することが可能となった.その技術の延長線上で電気伝導特性評価のための電極を取り付けることや,測定と同時に力学的な変形を加えることも可能となってきた.これらの成果は,International Conference on Small Science(米国)において招待講演となった. また,理論的なメカニズムの解明としては,いくつかの特別な極率をもつコイルについて,その形状と電子が感じるポテンシャル形状の間の関係が研究された.その結果,コイルの巻きは電子については実質的な引力ポテンシャルになること,巻きのなかに形成される束縛状態の基本的な性質,比較的に高いエネルギーをもつ電子に対するコイルの影響などがいくつかあきらかとなった.その成果の一部分は,国際会議 Optics & Photonics Taiwan, International Conference (OPTIC2013)(台湾)で発表された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では,初年度はカーボンナノコイルのマニピュレーション技術の確立を行い,また,理論的な研究としては実験の内容を取り込んだモデルを提案して数値的に電気伝導特性を推定する予定であった.これに対し,実験に関しては研究代表者自身の所属機関が北海道大学から日本大学へと変更になったため,実験の装置などの準備や調整に手間取って遅れてしまったことが大きな原因となって,実質的には3ヶ月~5カ月ほど予定よりも遅れている.具体的にはカーボンナノコイルの成長はコンスタントにできる状態であるが,それに対して変形を加えながら電気伝導特性に関するデータを取る測定系を構築中である.変形を加えること自体については,研究分担者である須田(豊橋技術科学大学)が技術を確立しており実施可能であるが,研究代表者の担当している測定の部分について現在,構築中である.理論的研究としては,ある程度モデルを構築し,具体的な計算結果を得るに至っているので,実験データとの比較検討を待っている状況にある.また,理論的なモデル構築の段階で派生的なアイデアも生まれ,発光素子としての応用が期待できる結果を得た.この研究結果は,国際会議OPTIC2013(台湾)にて発表された.
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今後の研究の推進方策 |
実験の技術的な部分については,分担者がかなり貢献しており,データが出始める状況となったため,今後は更なる実験の推進を行う予定である.具体的には,代表者の担当している電気伝導特性測定の部分について装置の構築が完了し,電気伝導特性測定を行う予定である.また理論的な研究からの提案に基づいて,特定の変形を加えたときのカーボンナノコイルの電気伝導特性に着目して研究を推進する予定である.さらに,カーボンナノコイル中の電子について相対論的な効果を考慮したモデルも提案する計画である.またそれら成果を国際会議や論文として発表予定である.初年度に約3~5ヶ月の遅れが出ているが,平成26年度中には遅れを取り戻せる計画である.
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