研究課題/領域番号 |
25600070
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水上 成美 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (00339269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハーフメタル / 半金属 / ホイスラー合金 / スピントロニクス |
研究概要 |
本研究は、半金属をベースとしたスピントロニクス新領域の形成を狙い,その中心的材料となる高スピン分極率を有する半金属,いわゆる半金属ハーフメタル材料の実現を第一の目的とする.さらに,本材料をベース電極に用いたゲート電極を有するプレーナ三端子素子を作製し,ゲート電圧印加によるスピン輸送特性のチュー二ングを実現することを第二の目的とする.最終的には,室温・高効率で動作する三端子スピントランジスタ実現可能性への知見を得ることを目的とする.H25年度は、当初計画に従い次の項目について研究した。 ①半金属ハーフメタル薄膜の作製と評価 候補となる材料としてMn2CoAlならびにMn2CoGaホイスラー合金がある。H25ではこれまで実績のあるMn-Ga合金薄膜にCoを添加したMn2CoGa膜の作製と評価を進めた。(001)配向した立方晶単層のエピタキシャル薄膜を得た。薄膜は面内磁化を示し、飽和磁化が200-500emu/ccとCo組成に依存して大きく変化した。格子定数、磁気モーメント共にバルクにほぼ等しく良質な試料といえる。その電気抵抗は室温で300μΩcm程度の大きな値でありメタリックな温度依存性を示したため、半金属性ないし電子状態密度に異常があると推測される。異常ホール係数の符号と値が組成依存性を示し、現在理論的解析を進めている。 ②半金属ハーフメタル薄膜のスピン分極度ならびに電子状態 ①の研究で得たMn2CoGa薄膜を電極とするトンネル接合の試作と評価を進め、室温で11%のTMR比を得た。温度依存性などの評価を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
良好なMn2CoGaエピタキシャル薄膜の作製と基礎的評価、ならびにそのトンネル接合形成と評価など、当初の計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①半金属ハーフメタル薄膜の作製と半金属性の評価:理論グループと共同で輸送特性の解析を行い、その電子状態に対する知見を得る。 ②半金属ハーフメタルのスピン分極度ならびに電子状態の解明:トンネル接合の界面最適化を行い、スピン分極率に関する知見を得る。また、バイアス依存性の評価を行い、印加電圧に対するバンドベンディングや状態密度に関する知見を得る. ③半金属ハーフメタル薄膜を用いた三端子素子の作製とゲート電圧印加効果:ゲートを有する三端子の構造を作製し、輸送特性のゲート電圧依存性を調べる。 これらを通して、スピントランジスタの実現可能性についての知見を得る.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画で定常的に使用している金属材料スパッタターゲットの調達が遅れたため。 予定通り金属材料スパッタターゲットを調達する。これによる計画の遅延はない。
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