研究課題
本研究は、半金属ハーフメタル材料の実現を第一の目的とする.さらに,本材料をベース電極に用いたゲート電極を有するプレーナ三端子素子を作製し,ゲート電圧印加によるスピン輸送特性のチュー二ングを実現することを第二の目的とする.計画最終年度は、当初の計画に従い、次の事項について検討した。①Mn-Co-Ga薄膜の作製と半金属性の評価 半金属ハーフメタルを示す可能性があるMn-Co-Ga薄膜の輸送特性を調べた。Mn3GaのMnをCoで置換していくと垂直磁化から面内磁化に変化し、Mn2CoGaの組成で半金属的な電子状態となることが理論的に予想される。MnをCoで置換していくと中間の組成で異常ホール効果の符号が変化し、Mn2CoGaの組成の付近で再び符号が変化する、複雑な依存性を示すことがわかった。しかし、半金属性から期待される大きなホール係数は観測されなかった。②Mn-Co-Ga薄膜のスピン分極度ならびに電子状態の解明 Mn-Co-Ga薄膜を電極に有するトンネル接合を作製し、組成の温度依存性への影響を系統的に調べた。Mn3Ga接合のTMRは温度とともに単調に増大するが、Mn2CoGaの組成に近いMn-Co-Ga接合は、接合抵抗が約1桁大きく、また低温でTMRが急激に上昇する傾向があり、最大32%まで観測された。この変化は、Mn-Ga系のTMRとは傾向が明らかに異なり、TMR比は小さいものの、Co2MnSiのようなハーフメタルホイスラーの温度依存性に近いと考えられる。薄膜結晶の規則化が十分ではないこと、また結晶性がまだよくないことが原因で、期待した半金属ハーフメタル性がまだ現れていないものと考えられる。原因の一つは、薄膜結晶成長が予想以上に難しいためである。計画の三端子素子の形成まではまだ実施できていないものの、材料の可能性を顕在化させつつある段階にあり、研究を継続している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 5件) 備考 (2件)
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