研究課題/領域番号 |
25600071
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
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研究分担者 |
平野 愛弓 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (80339241)
山本 英明 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10552036)
木村 康男 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (40312673)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオエレクトロニクス / 信号伝達 / 培養細胞 / 神経回路 / シナプス / タンパク質 / マイクロパターニング / 表面改質 |
研究実績の概要 |
脳の主要構成要素である神経細胞を人工的に培養した系は、脳機能を理解するための簡略なモデル系として利用されている。一般的な培養神経細胞においては、培養開始から1週間以内に信号伝達に必要なシナプス接合が形成され始める。マイクロパターン上の培養神経細胞においても機能的なシナプスが形成されることは生理学的実験により確かめられているが、成熟化のプロセスや通常の培養神経回路におけるシナプスとの違いは不明であった。そこで本研究では今年度、蛍光免疫染色法を用いて、①パターン上の神経細胞では培養何日目ごろからシナプスが形成されるのか、②細胞のどの部位にシナプスが形成されるのか、さらに、③シナプスの数や大きさが培養の継続に伴ってどのように変化するのか、を調べた。
細胞外基質ゲルとポリリジンを混合したタンパク質インクをマイクロコンタクトプリンティング法によりカバーガラス上に転写して、パターン基板を作製し、そこに胎生18日目のラット胎仔の海馬から採取した神経細胞を播種した。培養6~10日において,培養神経細胞をMAP2 (細胞体と樹状突起)、Synapsin 1 (前シナプス)、PSD95 (後シナプス)で三重染色し、形成されたシナプスを可視化した。
単一細胞ごとに配列させた神経細胞におけるシナプス形成を免疫染色法により調べたところ、培養6日目以降でシナプス後細胞の樹状突起や細胞体にシナプスが形成されていた。さらに培養日数を経るとシナプスの数が増加し、個々のシナプスも大きくなっていく傾向が確認できた。またパターン形状との依存性を調べたところ、樹状突起が3本以上伸長できるパターンにおいてシナプスが正常に成熟化することが分かった。これにより、培養神経細胞を原理的要素とする神経回路を再構成する際のパターン形状に関する重要な設計指針を得ることができた。
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