研究課題
電界制御による歪みゲルマニウム(Ge)2次元正孔ガスの疑似ドット形成に向けて、ゲート構造の最適化を進めた。これまで歪みGe量子井戸層の上に、SiGeキャップ層20 nmを形成した構造において、ゲート制御に成功しているが、よりゲート制御のしやすい、キャップ層なしの構造の検討を行った。歪みGe表面に、ゲート絶縁膜として、Al2O3膜をスパッタリング法によって作製した場合、Ge/Al2O3界面には多量の界面準位、固定電荷等によるキャリア散乱要因が存在することが分かった。そのため、ゲート絶縁膜として、原子層堆積(ALD)を用いたAl2O3膜を利用した結果、正孔移動度の顕著な向上が見られた。さらに、Geデバイス構造において問題となるのが、オーミックコンタクト形成であり、極浅低抵抗コンタクトを形成するために、MBEを用いたデルタドーピング技術を利用した。デルタドーピングにおいて、不純物原子の表面偏析を抑制することが重要であり、SiまたはC極薄層挿入が偏析抑制に大きな効果を持つことを明らかにした。これらの最適構造を用いて、電界制御ドット形成のために、ホールバー・チャネル内に、キャリア制御用ゲートを形成し、ゲートバイアス印加による空乏化効果を詳細に調べた。最適なデバイス構造によって、ホールバー内の伝導度をゼロにすることができ、チャネルの空乏化に成功した。これは、擬似的Geドットが形成されていることを示唆する。また、歪みGeのスピン特性を調べるため、歪Ge二次元正孔ガスの、低温での磁気抵抗測定を行った。2DHGは低温、低磁場領域において弱反局在による正の磁気抵抗効果を示した。フィッテイングの結果、歪Ge中2DHGの弱反局在はラシュバスピン軌道相互作用で説明できることが分かった。さらにゲート電圧を印加することによりラシュバスピン軌道相互作用の大きさを変調することにも成功した。
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