研究課題
本課題では、新たに開発された宇宙実験装置に搭載された反射型マイケルソン干渉顕微鏡によって得られる干渉縞をもとに、自由成長する氷のベーサル面の成長速度の精密解析を行うことを目的とした。具体的な宇宙実験は、国際宇宙ステーション「きぼう」において、2014-2015年にかけて実施された。この宇宙実験では、氷結晶の成長に対する不純物、特に生体高分子のマクロ分子の影響を解明することを木駅とした。具体的には、不純物として不凍糖タンパク質(AFGP)を0.7mg/mgの濃度で含む水を過冷却させて、その中で氷結晶の自由成長をさせる。この宇宙実験で取得された干渉計画像は、直ちに稚樹にダウンリンクされて、詳細な解析にかけられる。最終年度は、昨年度までに得られていた氷ベーサルメンでの成長速度の振動現象の詳細な解析を継続して行った。その結果、氷ベーサル面の成長速度の時間変動の詳細が明らかなった。すなわち、前年度までデルタ関数的に速度が変動をすると考えていたが、一回の振動周期の中でも時間的に速度が特徴的な変動を示すことが示された。結晶成長速度の直接的な測定により、結晶の振動成長が明らかになったのは本研究が最初である。宇宙実験では、地上実験では避けることにできない結晶周囲の自然対流の効果が完全に排除されるので、このような極めて再現性の高い周期振動が観察された。宇宙実験ならではの大きな成果であり、27年度中に開催された国際会議等での報告を行うとともに、論文投稿の準備中である。
すべて 2015
すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)